今日の音楽 10月14日 交響曲第10番(マーラー)
マーラーの交響曲第10番(未完)は、クルシェネクによる補完版で第1・第3楽章が1924年10月14日にウィーンで初演されました。
結局、9番目の交響曲を「大地の歌」として作曲するなど抵抗した「ベートーヴェンの呪縛」から逃れる事はできず第10番は未完で終わってしまいました。未完と言っても、第1楽章がほぼ完成している以外は、大まかなスケッチしか無く、国際マーラー協会も第1楽章のみを全集版に収録していて他の楽章はマーラー作曲として認められていません。
そうは言っても、一応終楽章の第5楽章まで4段から5段になる譜面にスケッチを書き残しており、楽章によってはオーケストレーションの草稿もできているので、これを放っておく手は無く、様々な人が補筆完成にトライしています。
実際のところ第1楽章も一応完成はしているものの、その他のマーラーの楽曲と比較すると、まだまだ手を加えて完全な完成に持ち込もうという途中段階の印象は否めず、かなりオーケストレーションの薄い部分などが散見されます。そのために、この第1楽章の補筆を含めて補筆版が複数存在しています。
現在も演奏されるのは第1楽章のアダージョのみという場合が圧倒的に多いのですが、クック版完成以降は第1楽章のみの演奏ではマーラー協会が出版しているオリジナル版が使われる事が多いようです。まあ、中途半端な補筆版よりは、完全なオリジナルか完全な補筆版という事なんでしょうね。曲自体は、第9番で顕著になってきた無調性への進行が進んでいて、曲の流れはロマン派っぽいのですが調性が曖昧で、緩徐楽章を冒頭に持ってきた事も相まって、なんだか気色悪い消化不良という感じはします。完成していたらどうなっていたかはわかりませんけど・・・
第1楽章冒頭を、1990年10月14日が命日のバーンスタイン指揮ウィーン・フィルで。
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