今日の音楽 7月29日 詩人の恋
作曲家のロベルト・シューマンは1856年7月29日に亡くなっています。
シューマンの晩年は、元々の躁鬱的な精神と、若い頃罹患した梅毒による精神障害に苦しめられ1854年にはライン川に投身自殺を図り、その後精神病院に収容され寂しく世を去っているわけですが、よく言われるクララとブラームスの不倫を疑った事が精神障害に拍車をかけたという説はちょっと怪しいと思っています。ブラームスが初めてシューマン家を訪れたのが1953年9月30日でシューマンの自殺未遂が1954年の2月27日という5ヶ月という短い期間で、現代と異なるスローテンポの時代に夫を精神的に追い詰める程の忍び合う恋があった可能性は低いんじゃないでしょうか。もっとも既に精神を病んでいたシューマンが有りもしない幻影に追い詰められたという可能性はありますが。
シューマンは偏執狂的な作曲活動をする傾向がありました。ひとつのジャンルに拘るととことんそのジャンルを作曲しまくるという性癖があったようです。1841年は交響曲の年と言われていて第4番と第1番が作曲されていますし翌年はピアノ五重奏曲をはじめとする室内楽曲が集中的に作曲されています。
1940年は歌曲の年といわれていて、シューマン最初の歌曲集「詩人の恋」をはじめ、リーダークライスop.24とop.39、「女の愛と生涯」というシューマンの代表的歌曲が全て作曲されています。
「詩人の恋」はハイネの「歌の本」という詩集の20篇から「美しい五月に」など16編を選んで作曲しています。シューマンらしくピアノ伴奏がただ単に歌の伴奏ではなく、共演と言っても良いほどの豊かな表現力を現しています。
ヴンダーリッヒのテノール、ギーゼンのピアノで、「美しい五月に」です。
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