今日の音楽 5月6日 リリ・マルレーン
ドイツ出身の女優であり歌手でもあった、マレーネ・ディートリヒは1992年5月6日に亡くなりました。
ヴァイオリニストを目指していましたが手首を傷めて断念し、20歳で演劇学校に入学し映画デビューしたものの鳴かず飛ばず。1930年に舞台に立っていたところをスタインバーグ監督に見出され映画「嘆きの天使」に出演し退廃的な美貌、セクシーな歌声と脚線美で国際的な女優の仲間入りを果たしました。同年、アメリカに招かれ「モロッコ」でハリウッド・デビュー。アカデミー主演女優賞にもノミネートされました。1938年の「上海特急」でハリウッドスターの座に上り詰めました。
母国のヒットラーのお気に入りで、ドイツに戻るように要求されましたが、ナチスを嫌っていたマレーネはそれを断ってアメリカの市民権を獲得したため、ドイツではマレーネの映画は上映禁止となりました。第二次大戦中は、アメリカ兵士のために慰問を繰り返し反ナチスの立場を明らかにし、戦地で兵士が口ずさんでいた「リリ・マルレーン」を覚え歌い続けました。
「リリ・マルレーン」は、1915年にロシアへの出征を前にしたドイツの詩人ハンス・ライプが創作した詩集の中の詩に1938年にノルベルト・シュルツが作曲した曲で、ララ・アンデルセンが録音したレコードが有名になった曲です。第2次大戦中のドイツの放送で再三かけられ兵士たちは故郷を思い涙を流したと言われ、やがてドイツ軍だけでなくイギリス軍の間にも流行しましたが、イギリスの軍司令部はこれを禁止したそうです。アンデルセンも親しい仲の男性にユダヤ人がいる事が発覚してドイツでもレコードが破棄されてしまいました。
マレーネ・ディートリヒがドイツと敵対関係にあった連合軍の慰問などで、この歌を歌い続けたため、ドイツ人からは裏切り者のレッテルを貼られてしまいました。
このように戦争に翻弄された「リリ・マルレーン」ですが、日本でも加藤登紀子、梓みちよ、森山良子、麻実レイなど現在でも歌い継がれています。
私自身も、高校時代にこの曲に興味を持って鈴木明の著作「リリー・マルレーンを聴いたことがありますか」を図書館から借りて読んだ思い出があります。
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