今日の音楽 5月18日 交響曲第10番(マーラー)
作曲家グスタフ・マーラーは1911年5月18日に亡くなっています。
9つ目の交響曲に番号を与えず「大地の歌」という番号なしの曲にしてまで、ベートーヴェンの呪縛(作曲家は第10番の交響曲を完成させることができない)から逃れようとしていたマーラーも、結局はジンクスに勝てず、この第10番の交響曲を未完のままこの世を去ってしまいました。
楽譜は、第1楽章のみオーケストレーションを施した浄書に近い形で遺されていますが、他の楽章はスケッチ程度のものしかありません。5つの楽章からなっており、第1楽章はアダージョ、第2楽章はレントラー風の中間部をもつスケルツォ、第3楽章は楽譜に「プルガトリオ(煉獄)」と書かれた曲、第4楽章は激情的なスケルツォ、終楽章は序奏、主部、コーダからなるソナタ形式もどきの曲になっています。
この曲は第9番あたりから明白になってきた無調性音楽への歩みを更に進めた曲で、完成すれば非常に難解な曲になったであろう事が想像されます。勿論、スケッチがあるからには、これを完成させようという音楽家が数多く出て、様々な完成版が存在していますが、マーラーという人は、自ら初演をやるために、完成した作品をリハーサルを繰り返す内に大幅に書き直したりする人ですので、スケッチだけでは最終形は予測できませんが・・・
補筆版の代表的なものがクック版ですが、これですら演奏される事は稀で、ほぼ演奏会等で取り上げられるのは第1楽章のみです。
バーンスタイン指揮ウィーンフィルで、第1楽章の前半です。
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