白鳥の湖の5曲目は第13曲の「白鳥の踊り」です。この曲は7つのパートに分かれていて①テンポ・ディ・ワルツ(白鳥たちの群舞)②モデラート・アッサイ(オデットのソロ)③大きな白鳥たちの踊り(①と同じメロディを持つワルツです)④4羽の白鳥の踊り⑤オデットと王子のパ・ダクシオン⑥テンポ・ディ・ワルツ(①のリフレイン)⑦コーダ からなっています。今回の演奏では①と④を演奏します。
最初のワルツは、4小節の前奏がついています。通常、ワルツではコントラバスは頭打ちと言って小節の1拍目を打つのですが、これはあまり目立たぬように、それでもはっきりと小節頭がわかるように演奏するのですが、このワルツの頭打ちは非常に目立ちます。というのもイ長調のこの曲では通常A線という高い方から3番目の線の低い音を弾くのですが、1オクターヴ高い音で頭打ちをするために妙に目立つという特徴があります。メロディ自体は何だか平板でワルツとしては面白みの無いものですが、後半は2拍子に聴こえるリズムを加えて変化をもたらしています。
第6曲目は、先ほどの「白鳥の踊り」の中の4羽の白鳥の踊りです。ファゴットの単調な伴奏を伴う可愛らしい曲で「白鳥の湖」の中でもよく知られた曲のひとつです。
第7曲は第3幕の4曲目(全体の18曲目)の情景です。この曲の前半は今回の曲の中では最も軽快で、王子の嫁選びのクライマックスが訪れる場面です。続いてトランペットのファンファーレでオディール(黒鳥)が登場し、オデットの白鳥のテーマに酷似した黒鳥のテーマが演奏されます。
第8曲から第10曲は各国の民俗音楽の中からスペインの踊り、ナポリの踊り、ハンガリーの踊りです。ここだけ実際のバレエと順番を入れ替えました。
第8曲は全体の21曲目のスペインの踊りです。カスタネットも加わってボレロのリズムの中で演奏されます。最後はテンポを速めて怒涛のように終わります。
第9曲は全体の22曲目はナポリの踊りです。トランペット(本当はコルネット)の技巧的なソロが見どころ。チャイコフスキーは、イタリア奇想曲の中でもコルネットの速いフレーズを使っており、チャイコフスキーにとってはイタリアはコルネットの音色なんでしょうね。但し、後半のメロディはどちらかといえばスペインっぽく聴こえるのは私だけでしょうか。
第10曲は全体の20曲目ハンガリーの踊りです。ハンガリーといえばチャルダッシュです。ドリーブのコッペリアでも出てきますが、前半はゆっくりとした短調の曲で、後半は速いテンポの長調の曲です。
第11曲目はフィナーレです。流麗な弦楽合奏のメロディ(ここでもコントラバスはピッチカートです)がホルンに引き継がれ、その後白鳥のテーマが出ますが次第に悲壮感を増して行き、王子とオデットの死、そして愛が死を乗り越えて白鳥のテーマが壮大に演奏され、やがて2人が天に昇っていく厳かなメロディで終幕となります。
まあ、最後の曲はちょっとシンフォニックな感じですしストーリー性が非常に高い曲ですので音楽音色の変化が楽しめる曲です。