今日の音楽 3月9日 ナブッコ
ヴェルディの歌劇「ナブッコ」は1842年3月9日にミラノ・スカラ座で初演されました。
ヴェルディは、処女作歌劇「オベルト」を成功させたものの2作目のオペラブッファ「一日だけの王様」が失敗に終わり音楽への情熱を失いかけていました。そんな折スカラ座支配人のメルッリから、新しいオペラの委嘱を受け、旧約聖書を題材にした台本「ネブカドネザル」を渡されました。気が乗らなかったヴェルディが偶然開いたページの「行け、わが思い黄金の翼に乗って」の台詞を見て音楽への意欲を取り戻しました。この3作目の歌劇「ナブッコ(ネブカドネザル)」が出世作となり、その後イタリアを代表するオペラ作曲家となりました。
「ナブッコ」は、紀元前7~6世紀ごろの古代オリエントの新バビロニア王国の王ネブカドネザル2世の事で、ユダヤ人の建国したユダ王国を滅ぼし、首都のエルサレムから多くのヘブライ人を捕虜として連れて来た(バビロン捕囚)人物として知られています。
このオペラが多くの人に知られている最大の要因は、第3幕でヘブライ人たちがユーフラテス河畔で故郷への思いを歌う「行け、わが思い、金色の翼に乗って」という合唱曲です。
この曲は、イギリスにおける「威風堂々」、フィンランドにおける「フィンランディア」などと同じくイタリアの第2の国歌と言われています。当時イタリアはオーストリアに支配されていたため自分たちを重ね合わせたという伝説もありますが、実のところは議員にもなったイタリアの英雄の作曲した故郷(国)を思う歌という事で歌われるようになったのではないでしょうか。
シノーポリ指揮ドレスデン・シュターツカペレです。
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