今日の音楽 3月5日 交響曲第7番「レニングラード」
ショスタコーヴィチの交響曲第7番は、1942年3月5日に当時の臨時首都クイビシェフ(現サマーラ)で、サモスード指揮ボリショイ劇場管弦楽団の演奏で初演されました。
ショスタコーヴィチの作品はソヴェト共産党との葛藤無くして語れないものがあります。純粋に音楽という事で云えばそれは悲しい事ではありますが、この共産党の監視下という極限の中でショスタコーヴィチの表現したかった音楽を隠し味にしていたりと、ショスタコーヴィチならではの音楽の世界が表現されていて、それをわかって聴けばなかなか面白いものです。
ショスタコーヴィチは、交響曲第7番について第二次大戦のレニングラード包囲戦におけるファシズム(ナチスドイツ)に対する勝利を讃え、レニングラードに捧げた、と表明したため、この曲を「レニングラード」という標題で呼ぶようになりました。ショスタコーヴィチの交響曲中最長の曲で75分程度の時間がかかります。また、全曲を通して戦争を直接的に表現した部分も多く、一時はショスタコーヴィチ最大の愚作と言われた時期もあったようですが、今では単にナチへの反抗ではなく、スターリンによる独裁的全体主義も含めて攻撃したと解釈されるようになっています。
何と言っても第1楽章で楽器を替えながら12回も繰り返される「戦争の主題」が頭にこびりついて離れない程インパクトがある主題です(ちょっと調子っぱずれなところが更に良いです)。ラヴェルのボレロの影響を受けていると言われています。
30分を要する第1楽章は、従って戦争を表現し、スケルツォの第2楽章は戦争の悲しみと戦争の回想、緩徐楽章の第3楽章は祖国愛を表現、終楽章はベートーヴェンの「運命」のパロディともモールス信号のVを表現しているとも言われる同音連打に始まり輝かしい勝利を表現しています。
ロジェストヴェンスキー指揮ソヴェト文化省交響楽団(現ロシア・シンフォニー・カペレ)で、第1楽章です。
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