ブルックナーの交響曲第3番「ワーグナー」は、1877年12月16日にウィーンで初演されています。
元々は、ワーグナー派というわけでは無かったブルックナーですが、1876年にワーグナー と会見をし、既に完成していた交響曲第2番か、作曲中の第3番のどちらかをワーグナーに献呈したいと申し出(ワーグナーは第3番に興味を示し、結局この第3番が献呈された為に「ワーグナー」という標題でも呼ばれる事があるのですが)た事で、ブルックナーはワーグナー派として、反ワーグナー派に徹底的に攻撃されるようになった、という記念碑的な(?)作品です。 初演された初稿は、70分にも及ぶ長大な曲で、演奏の最後には聴衆は殆どが帰ってしまったという程の大失敗でした。(残っていた聴衆の中にマーラー がいたということですが) 結局、ブルックナーらしく何度も改訂を繰り返し現在演奏されることが多い第3稿は55分程度になっています。
私も、数々の交響曲を演奏する機会に恵まれましたが、その中で唯一殆ど印象に残っていない曲が、この交響曲第3番です。ブルックナー大好きな方には申し訳け無いのですが、好きでない曲も、半年程度練習していると愛着を覚えるものですが、この曲は私の中では全く「演奏した」という事と、「何か中途半端な第1楽章の第1主題の印象」しか残っていません。。。
多くの演奏家や、批評家がブルックナーの交響曲で評価に値するのは第5番以降ということを言うのですが、第4番「ロマンチック」 は、それなりに親しみやすい旋律を持ってブルックナーっぽいオルガン風のオーケストレーションで仕上がっていて、素人好みの曲になっていると思います。「ブルックナーらしくない」とか「安直」という批判は、一般的な聴衆を馬鹿にしたような言い方で好きではありませんね。複雑でしっかりとした構成のものだけが音楽では無いはずですからね。
というわけで、数年前に演奏して以来、全く聴くことも無くなった曲を「今日の音楽」で取り上げて良いのかとも思うのですが・・・結局取り上げて見ました。
ブルックナー自体は、革新的なオーケストレーションや管楽器の響かせ方をしているにもかかわらず、作曲した交響曲は古典的な形式に則っています。この曲も、第1楽章はやや速いソナタ形式、第2楽章は緩徐楽章、第3楽章はスケルツォ、終楽章は速い楽章という古典的な形式で作曲されています。
ヤンソンスの指揮で(オケは不明)終楽章です。
VIDEO