今日の音楽 10月29日 山に祈る
1986年10月29日は、日本の作曲家清水脩の命日です。
清水脩は、大阪外国語学校(現・大阪大学外国語学部の前身)を卒業後、東京音楽学校(現・芸大)選科で作曲・音楽理論を学び1939年に「花に寄せたる舞踏組曲」が第8回音楽コンクールの作曲部門で1位入賞し、音楽活動を開始しました。多くの器楽曲・オペラ・歌曲・合唱曲を残しています。代表作のひとつ歌劇「修善寺物語」は、今でも時々演奏されます。
自ら、大学時代にグリークラヴに入っていたこともあり、合唱曲も数多く作曲し、出版にも尽力しカワイ楽譜の社長となっていた時期もありました。特に自身の経歴から男声合唱の曲を得意とし、「月光とピエロ」「朔太郎の四つの詩」「大手拓次の三つの詩」などを残しています。
合唱組曲「山に祈る」は、元々、度重なる山岳遭難予防のために長野県警察本部が編集した遭難者の遺族たちに手記「山に祈る」の冒頭の手記(上智大学山岳部の飯塚陽一さんの遭難を、彼の残した日誌と、母親の手記)に感銘を受けたダーク・ダックスの依頼で作曲され当初はダーク・ダックス用に男声四重唱と管弦楽のための曲として発表。その後男声合唱、混声合唱の組曲になっています。
内容は、山の素晴らしさを歌った「山の歌」、リュックを背負って新宿駅に集合した時の様子を歌った「リュックサックの歌」、前泊の中房温泉での「山小屋の夜」、組曲中最も知られており山の優しさ、厳しさを歌った「山を憶う」、登山中に襲われた猛吹雪を歌う「吹雪の歌」、長時間の吹雪にさらされビバーク中に死を悟り母親に先立つ後悔の思いを歌う「おかあさん、ごめんなさい」の6曲と、本人及び母親の手記の朗読から構成されている曲です。
山を憶う です。
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