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2011年9月24日 (土)

パイオニア交響楽団第22回定期演奏会へ向けて part4

ベートーヴェン交響曲第5番第1楽章は典型的なソナタ形式で書かれています。拍子は4分の2拍子ですが、音楽的には1拍子の音楽で数小節でひとつのフレーズを成す構造になっています。テンポは、ベートーヴェンのメトロノーム指定では二分音符が108.のAllegro con brio(活気あるアレグロ)ですが、数年前まではかなりゆっくりめに演奏されるのが通例でした。現在は、二分音符108の演奏は流石に聞くことはありませんが、二分音符100ぐらいで演奏されるのが普通になっています。

12_2 5小節の「運命の動機」の呈示のあと、この動機を使った第1主題が提示されますが、ここで、このテンポが速くなっていることが演奏の難しさを増しています。というのも、通常の主題の提示のように1つの楽器で演奏されれば問題ないのですが、左のように2ndヴァイオリン、ヴィオラ、1stヴァイオリンの順番に「動機」を演奏する事で主題を形成しているからです。例えばヴィオラは1小節休んでから1拍目の表拍に休符を取ってから「動機」を演奏するわけです。音楽にずっと乗っていれば問題ないのですが、この休符を数えたりしていると絶対に遅れてしまうわけです。ここでヴィオラが遅れると次の1stヴァイオリンも遅れる・・・遅れの連鎖で、テンポが次第に遅くなり、この楽章で最も大切な緊張感が失われてしまうという結果が、特にアマチュアの演奏では少なくありません。こういう箇所が楽器を替えていくつも出てくるので、緊張感を保って演奏するためには、休符もきちんと演奏する必要があるわけです。

13_3 第2主題は、ホルンのソロによる「動機」の後ヴァイオリン、クラリネット、ヴァイオリンとフルートのそれぞれ短いフレーズで演奏されます。ここで注目する必要があるのは下から2段のチェロとコントラバス。見てわかるように「動機」が演奏されます。この「動機」が演奏されることによってハ長調に転調して曲調も明るくなり、四分音符のみの展開でテンポ的にもゆったりとした雰囲気になっても緊張を持続することが出来るわけです。

この第1楽章には、このような箇所が随所に見られます。特にコントラバスは、最多数の運命の動機の演奏を強いられる事になります。これは第1主題のところで書いたように、少しでも緊張を解いてしまうとテンポを緩める原因になってしまうので、ずっと緊張しっぱなしというのが実際のところですが、結構それが気持ちよいM的な性格を覗かせてくれる第1楽章です。

再び第1主題を元にした曲想で小さなクライマックスを迎えて提示部を終了します。多くの演奏は、この提示部は繰り返しを行います。

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