今日の音楽 6月26日 交響曲第9番(マーラー)
マーラーが完成させた最後の交響曲、第9番は1912年6月26日ウィーンで初演されています。演奏はブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィルで、マーラーの死後1年以上経過していました。
マーラーは常に死への恐怖と戦っており、8つ目の交響曲の後に「第9番のジンクス」を怖れ9つ目の交響曲にあえて番号をつけず「大地の歌」として緩衝地帯を設けたのですが、結局この第9番が最後の交響曲になってしまって、自ら第9番のジンクスを具現化してしまったわけです。
第9番は、マーラーの最高傑作と言われる事が多い作品です。古典的な4楽章形式の曲ですが、通常テンポの速い楽章である第1・4楽章が共に緩徐楽章であり、特に終楽章がpppで消え入るように終わる上に、死に絶えるように・・・という指示があることから、「死」をテーマにした曲であると言われています。但し、マーラーの場合は常に曲中に死を意識したものが流れているので第9番だけというわけでは無いとは思いますが。
曲の完成度としては、マーラーの場合、自らが演奏して修正をする事を繰り返して曲を完成させている為に、死後初演されたこの第9番では他の交響曲に比べると、多少低めとは言われています。特に終楽章は、マーラー自身の指示が少なく(マーラーの場合、曲想記号などではなく具体的にドイツ語で細かい指示が譜面に書かれています・・・これが、ドイツ語が読めない我々の演奏の最初の壁になるわけですが)、まだ完全な形にはなっていなかったという根拠のひとつにもなっているようです。
では、聞いていて物足りないのか、といえば、とんでもない。最高傑作と言われる中でも、もっとも優れた楽章とも言われていますので・・・
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