今日の音楽 6月20日 コケイン
エルガーという作曲家は日本では知名度がとても低いですね。真っ先に浮かぶ「威風堂々」と「愛の挨拶」ぐらい、最近は「エニグマ変奏曲」も取り上げられるようになってきましたが。
というよりも、19世紀~20世紀にかけてのイギリスの作曲家の作品が取り上げられる機会自体が非常に少ないです。ブリテンの「青少年のためも管弦楽入門」、ホルストの「惑星」、ヴォーン=ウィリアムズの「グリーンスリーヴスの主題による幻想曲」ぐらいですかね。多分、ヘンデル以降からエルガーまでの音楽の歴史が繋がらないのが一因かもしれません。
エルガーの作品でとても楽しい曲があります。序曲「コケイン」という曲です。1901年6月20日にロンドンのクイーンズホールで初演され大成功しています。麻薬ではありませんよ。コケインとは、理想郷をあらわす中世フランス語から転化した言葉で、ここではロンドンの下町を表しています。ロンドンで暮らす人々の生活を生き生きと表現した曲で「英国の楽団員である多くの知己に」捧げられた音楽です。パリのアメリカ人のようにクラクションなどの具体的な擬音はありませんが、とても楽しい曲で、もっと演奏されても良いような気がします。最近は尾高忠明さんがイギリス音楽を積極的に紹介していますので、もっと耳に入る機会が増えると良いですね。
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