今日の音楽 5月7日 弦楽セレナーデ(チャイコフスキー)
5月7日は、2人の偉大なる作曲家の誕生日です。ひとりは1833年生まれのブラームス。もうひとりは1840年生まれのチャイコフスキーです。コントラバス奏者の息子として生まれたブラームスと異なり、チャイコフスキーの父親は鉱山技師で、音楽の才能を現したチャイコフスキーを音楽家にするつもりもなく法律学校に入れ、チャイコフスキーも法務省に勤務しましたが、音楽への夢を棄てがたく、21歳の時にアントン・ルビンシュタインが創設した音楽学校に入学というように音楽教育を受け始めたのは遅い時期でした。それでもめきめきと頭角を現し、2年後には法務省を辞めて、音楽活動に専念するようになったわけです。
チャイコフスキーは特に日本では人気が高く、三大バレエ、後期三大交響曲、ピアノ協奏曲第1番、ヴァイオリン協奏曲、ロミオとジュリエット、スラヴ行進曲、1812年、弦楽四重奏曲第1番・・・・どれか、ひとつと言うのは難しいですが、今まで紹介していない曲から弦楽セレナーデを選びました。弦楽合奏曲はバロック時代から現代まで数多く存在しています。管楽器や打楽器を廃して擦弦楽器だけで演奏される曲ですので、表現力という点ではフル・オーケストラの曲に比べれば一歩ひけを取りますが、同様の音質楽器による調和という点では、ピアノやオルガンなど単一楽器による音楽の表現力や和声を拡大した音楽ととらえる事ができると思われます。
ピアノは10本の指、オルガンは更に足による低音を加えた音楽を奏でる事ができるので、通常の五部による弦楽合奏よりも数多い音を一度に演奏できます。但し、例えば持続音の上で三連符と二連符がメロディとオブリガートを奏でるなどというのは、1人で演奏する楽器では表現できません。そういう意味では、弦楽合奏というのは単一に近い音色で拡大した表現をできるという管楽合奏などとも異なる、独特の音楽だと思われます。
ロマン派以降の弦楽合奏の代表的な作品では、ドヴォルザークやエルガーの弦楽セレナーデ、レスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲、バーバーのアダージョなどがありますが、知名度ではチャイコフスキーの弦楽のためのセレナーデが断トツでしょう。それぞれの楽章にタイトルがついている4つの楽章で出来ている曲で、CMにも使われた序奏は、序奏と言うよりも、全曲を通じた大きなテーマのように扱われ、第1楽章はこの序奏にサンドイッチされた形でコーダにも使われ、最終楽章でも登場します。その第1楽章はソナチネ形式の小品という題がつけられています。第2楽章は交響曲第5番の3楽章でもチャイコフスキーが採用したワルツ。第3楽章は悲歌と呼ぶには中間部が結構美しいエレジー、終楽章はロシアの主題によるフィナーレというタイトルです。
演奏は、とてつもなく難しくて、特に終楽章はアマチュアでは、余程きちんと弾ける奏者が集まっていないと破綻してしまうかもしれません。
第1楽章です。
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