今日の音楽 5月30日 火刑台のジャンヌ・ダルク
1431年5月30日は、オルレアンの少女ジャンヌ・ダルクが宗教裁判で魔女として処刑された日です。
フランスとイギリスの間で100年(実際には116年と言われています)もの間続けられた百年戦争で不利な状況だったフランスを救い、オルレアンを解放した救世主。
ジャンヌ・ダルクが救世主と成り得た(奇跡を起こした)要因は様々な説があります。わずか13歳の時に神の啓示を聴き立ち上がった少女は、王家の落し胤などという説のほか色々なエピソードが残されています。彼女の神がかり的な言動は、側頭葉てんかんの幻覚症状だったとか、火刑を受けて心臓や腸が焼け残った事や月経が無かったことから結核だった・・などの諸説があります。
また、ジャンヌが魔女として処刑されたのはフランス軍の手柄争いに巻き込まれたとか、フランスを勝利に導いた当時の国王シャルル7世よりも人気のあったジャンヌを妬んだとか・・・神や魔女の話にもかかわらず妙に人間臭い話も聞こえてきます。
ジャンヌ・ダルクを扱った曲は殆ど無いんですよね。もっとも、キリスト教と深い関わりを持っていたクラシック音楽ですから、ようやく20世紀になって名誉を回復し聖人に列せられるようになったジャンヌ・ダルクは扱いにくい素材だったんでしょうね。
数少ない、ジャンヌを扱った曲で群を抜いているのが、オネゲルのオラトリオ「火刑台のジャンヌ・ダルク」でしょう。もちろん作曲されたのは名誉を回復した後の1935年、1938年には演奏会形式で、1942年にはプロローグを書き加えて舞台形式で初演されています。
ジャンヌの火刑の前日から当日まで、回想を加えたストーリーになっています。
この曲、ピッコロ・トランペットや3本のサクソフォン、オンド・マルトノという電子楽器、チェレスタ、ピアノ2台、多彩な打楽器が登場しますが、フルート、オーボエは2本ずつだし、何よりもホルンが出て来ないという珍しい編成です。
処刑され聖母によって天国に導かれるフィナーレです。
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