今日の音楽 5月12日 タイスの瞑想曲
1842年5月12日はマスネの誕生日です。
マスネはフランスの中東部ロアール県生まれで6歳の時にパリに移り住んで11歳でパリ国立高等音楽学校に入学、20歳の時にローマ大賞を獲得してローマで3年間過ごしました。
以前にも数回書いているように、この頃フランスでは交響曲や協奏曲などの純音楽は全く評価されず、バレエ音楽やオペラ、演劇の付帯音楽などを書かないと認められない時代でした。ベルリオーズ以降、フランスでは交響曲や協奏曲の発展が殆ど止まってしまったのはそういう背景があったわけです。
マスネは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて非常に人気の高い作曲家だったようですが、勿論数多くのオペラを完成させたからでしょう。そのツケとして、現在ではちょっと忘れ去られ気味の作曲家になってしまいました。それでも、「ウェルテル」「マノン」は今でも上演され続けていますので、それ程優れた作品を残したという事でしょうか。
マスネの音楽は甘美なメロディを中心に非常に優美な曲が多いのですが、当時の専門家からは甘すぎ、とかエロっぽいなどと揶揄されていました。が、その甘美さが今でも彼の音楽が生き残っている理由になっているのでしょう。
それでも、マスネはいくつかの管弦楽曲を残しています。特に「アルザスの風景」「絵のような風景」などの7つの組曲は標題音楽としてはとても良くできていると思います。
そんな中で、マスネと言えばこの曲!というのが、歌劇「タイス」の中の間奏曲。俗に言うタイスの瞑想曲です。「タイス」は古代エジプトの高級娼婦。敬虔な修道士アタナエルがタイスに出会い、タイスを更正させようと努力する内に、アタナエル自身はタイス無しでは生きられないというように堕落していき、タイスは信仰への道へ目覚めていくがやがて死を迎え、堕落したアタナエルひとりが残されてしまう、というお話し。この歌劇の第2幕第1場と第2場の間奏曲です。アタナエルの献身でタイスが改悛していくシーンの音楽だそうです。
ヴァイオリンのソロを中心にオーケストラでマスネらしい甘美なメロディを歌う曲です。
パールマンのヴァイオリンです。
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