今日の音楽 12月21日 詩曲(フィビヒ)
チェコの国民楽派の作曲家といえば、スメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェクあたりを思い浮かべますが、もうひとりフィビヒ(フィビフとも言う)という作曲家がいます。1850年12月21日は、そのフィビヒの誕生日です。
フィビヒは当時オーストリア帝国の支配下にあったボヘミア地方の生まれでチェコの民族独立の気運が高まった時代の作曲家でした。作曲技法は明らかにドイツロマン派の系譜でしたが、チェコの民族舞踏や伝説に基づいた旋律を多く使っておりチェコ国民楽派の作曲家として位置づけられています。
代表作とされているヴァイオリンとピアノのための「詩曲」は、実はフィビヒの作曲というよりは、フィビヒの原曲による「詩曲」というのが正しい曲です。最も有名なのがヤン・クーベリックによる編曲のものですが、これについては作品番号39aがつけられており、フィビヒ作曲クーベリック編曲という事になっています。それでは、作品番号39は?というと、管弦楽のための牧歌「黄昏」という曲です。では、この曲をヴァイオリンとピアノに編曲したものが「詩曲」かというと、実は違います(ややこしい)
フィビヒは、「黄昏」の中間部で使った旋律がお気に入りのようで、これを別の作品で使っています。アネシュカという作曲の弟子であった女性との間の恋愛日記として作曲された「気分、印象と追憶」という4つのピアノ曲集があります。このうちの作品番号41という171曲もあるピアノ曲集の139番目の曲「ジョフィーン島の夕べ」という曲が、「黄昏」の中間部を使った曲で、この曲を元にして編曲されたのが「詩曲」というわけです。
非常にロマンチックで、どちらかといえばチェコはあまり感じさせない曲です。
管弦楽版があったので、貼り付けておきます。
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