今日の音楽 11月6日 モーツァルティアーナ
チャイコフスキーは1893年11月6日に亡くなっています。数あるチャイコフスキーの作品の中で何を取り上げようか考えたのですが、最もチャイコフスキーらしくない管弦楽曲、組曲第4番「モーツァルティアーナ」にしました。
チャイコフスキーはモーツァルトを非常に尊敬していたそうで、モーツァルトの4つの曲を下敷きにした組曲を作曲しています。時期的には1870年代後半から1887年ぐらいまでのチャイコフスキーのスランプと言われる時期の最後にあたる1887年に作曲されています。1878年に交響曲第4番、エフゲニ・オネーギン、ヴァイオリン協奏曲が書かれてから、1888年に交響曲第5番、翌年に書かれた眠れる森の美女までの間は、弦楽セレナーデやイタリア奇想曲を除けば、目に付く作品が無い時代でした。
弦楽セレナーデも、モーツァルトのセレナーデの影響で作曲されたものですが、このモーツァルティアーナは、モーツァルトの曲そのものを使用した作品です。1曲目のジーグはK.574の小さなジーグ、2曲目のメヌエットはK.355のメヌエット、3曲目の祈りはアヴェ・ヴェルム・コルプス、4曲目の主題と変奏はK.455のグルックの歌劇「メッカの巡礼」の主題による10の変奏曲を編曲したものです。
但し、3曲目の「祈り」は、アヴェ・ヴェルム・コルプスをそのまま下敷きにするのが憚られたのか、リストがアヴェ・ヴェルム・コルプスをピアノ用に編曲したシスティーナ礼拝堂にてという曲を下敷きにしています。まあ、原曲の厳かな雰囲気をギリギリでも保つには、チャイコフスキーらしさはあまり発揮できなかったという感じですかね。ところで、リストのシスティーナ礼拝堂にては、オルガンでも演奏されますが前半はかなり怪しげな音楽です。禿山の一夜みたいな怪しげ+厳かな音楽ですね。
この組曲、第4曲目だけが非常に長く、全体の半分の時間を費やします。
第3曲です。
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