今日の音楽 11月27日 夏の牧歌
この季節に「夏の牧歌」か?という疑問はさて置いて、近代フランスの作曲家オネゲルの命日は1955年11月27日です。オネゲルといえば、不協和音と激しい音楽。その不協和音と力強い音楽が最も有効的に使われているのが交響的断章「機関車パシフィック231」です。不協和音が、実生活で聞き取る事のできる音を効果的に表現し、列車を牽引する蒸気機関車を力強く表現した傑作です。
オネゲルは数々の映画音楽にも携わっていますが、この「機関車パシフィック231」は、前年に手がけた「鉄路の白薔薇」という映画音楽を素に作曲したものです。
そのほかには5つの交響曲、「機関車パシフィック231」を含めた3つの交響的断章、代表作のひとつオラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」など多くの作品を残しており20世紀フランスを代表する作曲家でした。
「夏の牧歌」はオネゲルの初期の作品で、きっかけはスイスの楽器製作者であったレオ・シルの作った、ちょっと小さめなヴァイオリンや大きなコントラバスと弦楽四重奏などによるアンサンブルの依頼を受け、ランボーの「イリュミナシオン」という詩の一節「私は夏の曙を抱いた」に霊感を得て書かれたものです。結局は通常のアンサンブル曲になっていますが、もし依頼された通りの特殊楽器を含めた曲として作られていたら、現在では演奏不能として忘れられた曲になっていたかもしれませんね。
作品自体は非常に穏やかで美しい旋律が歌われていて、後のオネゲルらしい作風とは違いますが、メロディメーカーとしての面目躍如の作品です。
ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルです。
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パリ管の弦が美しく、しかも量感に富んだ響きもミュンシュの解釈にふさわしい。 [続きを読む]
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