今日の音楽 11月2日 ハイドンの主題による変奏曲
ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」は、1873年11月2日ブラームス自身の指揮でウィーンフィルによって初演されました。この曲は、オーケストラのための独立した変奏曲としては、音楽の世界で最初の曲と考えられる歴史的な作品とも考えられています。
前にも、どこかで書きましたが、私はオーケストラの演奏者、しかも低弦人間としては珍しくブラームスフリークではありません。確かに緻密に構築され、ブラームスならではの捻りを多く加えた曲はどれを取っても素晴らしい作品とは思いますが、私にとってはブラームスは、ベートーヴェンとかマーラーとかいう作曲家と同列の作曲家で、特別な存在では無いという事です。(どうも、オケ弾きの中にはブラームスが特別な存在と考える人が多いようですが、全くクラシックど素人のカミさんなどに言わせると、退屈だそうです)
そんなブラームスの曲の中で、最も好きなのがシンフォニーでは第4番、そして、ハイドンの主題による変奏曲です。この2曲の共通点は、フィナーレがパッサカリアという事。パッサカリアは反復される不変バスに基ずく3拍子の音楽(と言っても、2拍子の場合もあります)で、要するにバスがずっと同じ単純なメロディを弾いている上に、メロディが変奏されて乗っかる音楽ですね。つまり、コントラバスは同じ事を何回も繰り返して弾くわけで飽きちゃっても不思議ないのですが、こういうのが結構低音弾きとしては楽しいわけです。ここに低音弾きの屈折した性格が顕れています(笑)
この曲の主題は、実際はハイドンの作曲では無い事が今ではわかっています。聖アントニウスのコラールと言われる賛美歌が元だという事が最近では定説のようですが、そんな事はどうでも良くて、このメロディを9つの変奏曲にしたのが、ハイドンの主題による変奏曲です。
このフィナーレのパッサカリアや第1変奏などの対位法のように古典的手法も使いながらブラームスらしい複雑なアンサンブルも組み合わせて、従来の古典とは異なる曲になっています。
ジュリーニ-ウィーンフィル、ハイティンク-ボストン響あたりが好みですが、チェリビダッケ-ミュンヘンフィルは聴いて見る価値ありますよ。終曲はチェリビダッケらしからぬ速めのテンポなんですが、途中で急にテンポを遅めて劇的効果を出しています。
(チェリビダッケのフィナーレです)
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