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2010年10月31日 (日)

今日の音楽 10月31日 スペイン奇想曲

リムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲は1887年10月31日に、ペテルブルクで初演されています。
元々は、ヴァイオリンと管弦楽のための曲としてスケッチされていた為にヴァイオリンソロも多い曲ですが、いかにもスペインの音楽という感じの曲です。
それも尤もな話で、この曲はインセンガというスペインの作曲家がスペイン民謡から集めた「スペインからの響き」という民謡集からの借用で、同僚のキュイなどはこの曲を「リムスキー=コルサコフはスペイン奇想曲を作曲はしなかったが、原曲の色彩を保ちながら、十分な和声法や対位法などを施した」と評しています。

曲はアルボラーダ(アストゥリアの舞曲)、変奏曲(アストゥリアの民謡 夕べの踊り)、アルボラーダ、シェーナとジプシーの歌(アンダルシアのジプシーの歌)、アストゥリア地方のファンダンゴから構成されています。

ジンマン指揮ロッテルダムフィルの演奏で前半です。

2010年10月30日 (土)

今日の音楽 10月30日 アパラチアの春

20世紀を代表するアメリカの作曲家といえば、バーンスタイン、グローフェ、ガーシュウィン、アンダーソンなどが上げられますが、忘れてならないのはコープランドです。コープランドはここで取り上げるのが3曲目。管理人のコープランド好きがわかってしまいましたね。

その、コープランドの代表作がバレエ「アパラチアの春」。1944年10月30日の初演で、この時の編成はfl,cl,fg各1本、ピアノ、弦楽器が2-2-2-2-1の13人による編成でした。

「アパラチアの春」というタイトルはハート・クレインの詩の一節から取られたものですが、バレエの内容とは全く無関係。作曲時には、このバレエは依頼主の振付師マーサ・グラハムの名を冠した「マーサのためのバレエ」と呼ばれる無題の音楽だったそうです。初演時に、グラハムが考えてつけた題名が、この「アパラチアの春」でコープランド自身も非常に気に入ったようでした。内容は、ペンシルヴァニアで開拓民が建てたファーム・ハウスの祝典だそうです。原作は14の部分から出来ていますが、多く演奏される管弦楽版は8つの曲にまとめられています。
アメリカの自然を彷彿とさせる作品です。

冒頭部分です。

2010年10月29日 (金)

今日の音楽 10月29日 ドン・ジョヴァンニの回想

1787年10月29日にプラハで初演されたのが、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」です。放蕩の限りを尽くしたドン・ジョヴァンニが、最後は地獄に堕ちて行く話ですね。
モーツァルトのドン・ジョヴァンニはキラ星のごとく親しみ易いアリアが散りばめられています。カタログの歌、お手をどうぞ、悪魔の正体がわかったでしょう、シャンパンの歌、ぶってよマゼット、ドン・ジョヴァンニのセレナード、恋人よこの薬で、恋人を慰めて、映画アマデウスでも壁を蹴破って石造がドン・ジョヴァンニを捕らえにやってくるフィナーレ・・・

中でも、お手をどうぞ(ラ・チ・ダレーム・マ・ノ)とセレナードは多くの作曲家が変奏曲などの主題として取り上げています。

そんな中で、今日はリスト作曲の歌劇「ドン・ジョヴァンニの回想」というピアノ曲を取り上げました。この曲は15分以上の大作で、騎士長のテーマ、お手をどうぞ、シャンパンの歌を中心に、リストならではの大きな曲に仕上げています。リストはベートーヴェンやベルリオーズ、ワーグナーなどの管弦楽作品をピアノアレンジしたり、ベルリーニ、グノー、マイアベーア、ヴェルディ、ワーグナー、ウェーバーなどのオペラのパラフレーズを作曲していますが、中でもこのドンジョヴァンニの回想は大作として知られています。

前半部分です。

2010年10月28日 (木)

今日の音楽 10月28日 ピアノ協奏曲第3番(ラフマニノフ)

ラフマノニフのピアノ協奏曲第3番は、1909年10月28日ラフマニノフ自身の独奏でニューヨークで初演されました。
この曲は、技術的にも音楽的にも(時間的にも)ピアニストにとって最難関曲のひとつと言われ1950年半ばまでは、この曲を演奏できるピアニストはラフマニノフ自身とホロヴィッツしかいなかったと言われています。
形式自体は、特に変わった形式を取っているわけではないのですが、第1楽章の第1主題のあのくぐもった感じのテーマが曲全体を支配しています。
2番ほどは一般的では無いですが、ロマンチックに徹している感じのある2番に比べると、かなり複雑な展開をしているので、その分フィナーレのラフマニノフ終止が訪れたときの感動は大きいものがあると思います。

ホロヴィッツと、ラフマニノフのピアノでこの曲を録音した事があるオーマンディの指揮、初演の直後にマーラーの指揮で再演したニューヨークフィルの演奏、アルゲリッチのピアノ、シャイー指揮のベルリン響などの名盤がありますが、個人的なイチオシは、アシュケナージのピアノ、プレヴィン指揮ロンドン響です。非常に起伏の大きい、しかもピアノが浮き立った演奏です。

映像は、アルゲリッチのピアノ、シャイー指揮ベルリン放送交響楽団で、第3楽章後半です。

2010年10月27日 (水)

今日の音楽 10月27日 ロッシーニの「シンデレラ」の「悲しみよ去りゆけ」による序奏と変奏曲

1782年10月27日はパガニーニの誕生日。
パガニーニは、自分の技術を他人に教えたくないという理由で弟子を殆どとらなかったため、彼の演奏技術が後世に伝わらなかった、当時は、まだ著作権が確立されておらず、せっかく作った作品がすぐにパクられる事から譜面は演奏会の日にしか配らず、終わるとすぐに回収してしまった。。などの理由で、譜面が殆ど残されていない、などから譜面が散逸し残された物は非常に少ないということで有名なヴァイオリニスト、作曲家です。

技巧的な作品が多いと思われがちですが、中身は結構ロマンシズムに溢れています。中でも、このロッシーニの歌劇「シンデレラ」の有名なアリアを元にした変奏曲はとても美しい作品です。勿論パガニーニ奏法はちりばめられていますけど・・・

時間の関係で序奏部分は割愛しました。
(バックの写真は バラの「パガニーニ」という品種)

2010年10月26日 (火)

今日の音楽 10月26日 星に願いを

1890年10月26日は、「ピノキオ」の原作者カルロ・コッロディの命日です。

コッロディは1826年11月にイタリアのフィレンツェで生まれ修道会の学校を卒業後出版社に就職。そこで作家たちの影響を受けて30歳の頃から執筆活動を開始。最初は音楽、演劇、文化、政治などの批評を書いていたがやがて未来を担う子供に目が向けられるようになりました。1881年から子供新聞に「ピノキオ」の連載を開始しました。
結局、彼の作品「ピノッキオの冒険」が評価されるようになったのは死後20世紀になってから。今では誰でも知っているこのお話しが、当初は評判にすらなっていなかったようです。

1940年にウォルト・ディズニーがアニメ映画化。原作では「ピノキオ」は悪戯っ子で、小説自体も社会風刺的な色合いがあったのですが、これを夢のあるストーリーに変えて成功。中でも、ネッド・ワシントン作詞、リー・ハーライン作曲の主題歌「星に願いを」(When You Wish Upon A Star)は、アカデミー主題歌賞を獲得、による、アメリカ映画協会による映画史における偉大な歌百選の第7位(ディズニー関連作品では最高位)に入っています。スウェーデンとノルウェーでは歌詞を変えてクリスマス・ソングともなっている、という程世界中で愛される曲となっています。

2010年10月25日 (月)

今日の音楽 10月25日 アルルの女第1組曲

1838年10月25日は、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーの誕生日です。ビゼーと言えば、「カルメン」「アルルの女」「真珠採り」などで知らない人がいない程有名な作曲家ですが、今ひとつクラシック音楽の作曲家としての評価は高くないですねぇ。
その原因は、ひとつには36歳という若さで亡くなった事、生きている間に正当な評価を得られなかった事(カルメンは死の直前に初演されましたが評判は散々。死後評価を上げる事になった。)、当時フランスではオペラ以外の音楽は受け入れられず交響曲などの純器楽作品は殆ど生きている間に演奏される事すらなかった。など、様々な要因が考えられます。

交響曲第1番は今でこそ時々演奏されますが、初演されたのは作曲から80年後。今聴くと、非常に瑞々しく情緒のある曲なのですが、何と17歳の時の作品。フランスで無かったら・・・と思うと非常に残念ではあります。

代表作のひとつ「アルルの女」は、ドーデの戯曲を上演するにあたって依頼された劇音楽です。上演した劇場との契約の関係で非常に小さな編成での作曲を余儀なくされ、ビゼーは非常に苦心したそうです。なにしろフルートは2本ですが、それ以外の木管は1本ずつ、ホルンもナチュラルホルンとヴァルヴホルン各1とサキソフォン、ハルモニウムと打楽器、弦楽器も1st violon 4、2nd violin 3、viola 1、cello 5、contrabass 2という妙な編成でした。
2つの演奏会用の組曲が残されていますが、第2組曲が圧倒的に知られていますね。特にファランドールとフルートソロによるメヌエットが有名ですが、実は第2組曲はビゼーの死後、ギローという作曲家がビゼーの死後アレンジだけでなく構成まで手を入れたもの。有名なメヌエットは実はアルルの女の中の曲ではなくて、同じビゼーの「美しいパースの娘」の中の曲を拝借したものです。

それと異なり、第1組曲は劇音楽作曲の直後にビゼー自身が2管編成の演奏会用組曲に編曲しなおした純粋なビゼーの作品です・・・が、あまり演奏されないですね。

第1曲 前奏曲は、ファランドールの中の「王の行進」(元々は民謡を使っている)を主旋律に使っています。第2曲はメヌエット(元々は間奏曲)、第3曲はアダージェット、第4曲はカリヨンという構成です。特に終曲のカリヨンはホルンによって表現される鐘のメロディが秀逸です。

小澤征爾指揮フランス国立管弦楽団の演奏で、「カリヨン」です。

2010年10月24日 (日)

今日の音楽 10月24日 唇は黙し(メリー・ウィドウ)

歌劇、楽劇、喜歌劇という分野で、最も好きなのは何の曲ですか?
プッチーニの「ボエーム」?「蝶々夫人」?、ヴェルディの「アイーダ」?、ワーグナーの「指輪」? 人それぞれでしょうが、私が最も好きなのはレハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」です。何と言っても肩が凝らない、やたらに長くない、言葉がわからなくても楽しめる。
ストーリーは、金持ちの未亡人ハンナを巡る恋の話。元恋人で親の反対で(ハンナの身分が低かった為)結婚を断念した過去を持つダニロや、ハンナが旦那の死後移住したパリで結婚すると財産がこの国(ポンテヴェドロ)から失われてしまうので、それを阻止しダニロと結婚させたい公使の男爵、パリのプレイボーイ カミーユに、男爵夫人が絡むドタバタ劇です。

レハールの命日は1948年10月24日。レハールといえば、この「メリー・ウィドウ」とワルツ「金と銀」が知られていますが、このほかにも「パガニーニ」「微笑みの国」など肩のこらない作品がたくさんあります。特に、「金と銀」はワルツとしての出来はヨハン・シュトラウスのワルツよりも優れていると言う人もいる程の作品です。

メリー・ウィドウ・ワルツは有名ですが、実はオペレッタの中に「メリー・ウィドウ・ワルツ」という曲は出てきません。後で演奏会用に編曲されたものだそうです。このメリー・ウィドウ・ワルツのテーマが第3幕のフィナーレの直前でハンナとダニロによって歌われる「唇は黙し」です。
ついつい、オペレッタというとオペラブッファとかセリエなどに比べると軽視されがちですが、音楽は楽しい事が一番、音の楽ですからね、という意味では本当に楽しい曲です。

2010年10月23日 (土)

今日の音楽 10月23日 木靴の踊り

1801年10月23日はドイツの作曲家ロルツィングの誕生日です。
ロルツィングはちょっと変わった経歴の持ち主。というのも、両親は俳優で若い頃から役者をやっていました。
そんな経歴から、残されているのは数作のオペラ。ユーモアに富んだ作品が多かったようですが、代表作は「ロシア皇帝と船大工」。これはロシアのピョートル大帝が、富国強兵のために産業を奨励する為に、海外の知識や技術を獲得するために水戸黄門ばりに身分を隠して(技術者として)イギリスやドイツ、オランダなどを見て歩くという軽い内容。

その中で、オランダでの踊りの音楽が「木靴の踊り」です。この曲も某FM放送のクラシック番組のテーマ音楽に使われていたので知っているのですが。。。。

2010年10月22日 (金)

今日の音楽 10月22日 ベートーヴェンのアテネの廃墟による幻想曲

1811年10月22日はフランツ・リストの誕生日。
リストは天才的ピアニストであり、交響詩という形式を完成させた作曲家であり、ベートーヴェンやワーグナーなどの作品をピアノに編曲して紹介した名アレンジャーであり、音楽教育に心血を注いだ教育者であり、多くの宗教音楽を残した敬虔なカトリック信者であり、様々な作品を世に紹介した音楽評論家であり・・・・音楽界のマルチタレントでした。
また、その演奏は多くの感動を残しクララ・ヴィークを感動させ、あまりに強く音楽を表現したので演奏中にピアノを壊す(ハンマーが折れたりピアノ線が切れたり)、自ら演奏中に失神する・・というYoshikiのような(笑)陶酔型の演奏家の元祖だったそうです。
また、リストの弟子は錚々たるメンバーで、今でもその系譜は脈々と引き継がれています。ハンス・フォン・ビューロー、ドップラー、ジロティ、ローゼンタール、ブライロフスキー、ワインガルトナーなどが直弟子、で孫弟子やひ孫弟子になると、アラウ、ケンプ、ルービンシュタイン、バックハウス、ビーチャム、ラフマニノフ、クリップス、ヴェス、バルトーク・・・・

リストのB級作品に ベートーヴェンのアテネの廃墟による幻想曲(トルコ風カプリッチョ)があります。ベートーヴェンの劇音楽「アテネの廃墟」から数曲を選んでそれをモチーフにした幻想曲で、ピアノとオーケストラのための協奏的作品(ほかにピアノ連弾、独奏版もあり)で、後半には有名なトルコ行進曲が使われています。ピアノのテクニックも味わえますし、なかなかの堂々とした作品なので、是非聴いてみてください。
(you tubeは時間の関係で始めの2分弱はカットしてあります)

2010年10月21日 (木)

今日の音楽 10月21日 アメリカの夜

1984年10月21日は映画監督フランソワーズ・トリュフォーの命日です。
トリュフォーといえばヌーヴェルバーグを代表する監督で「大人はわかってくれない」、「ピアニストを撃て」などの代表作がありますが、1973年に製作された「アメリカの夜」はアカデミー外国語映画賞を受賞した作品で、「アメリカの夜」というタイトルは、カメラにフィルターをつけ昼間に撮影した擬似夜景の事で、映画撮影の進行を軸に監督の苦悩や周囲の人間関係を表現した映画好きにはたまらない作品でした。

トリュフォー映画の音楽を数多く手がけたジョルジュ・ドルリューは、ダリウス・ミヨーの弟子でれっきとしたクラシック音楽の作曲家です。この曲を聴くと、最初はバロック音楽をそのまま使用したのでは無いかと思ってしまうのですが、聴いていると次第にバロックとはちょっと違う事がわかります。

2010年10月20日 (水)

今日の音楽 10月20日 歌劇「リエンツィ」序曲

ワーグナーの出世作となる歌劇「リエンツィ」がドレスデンで初演されたのが1842年10月20日です。このオペラの成功によって不遇だったワーグナーがオペラの大家の道を歩んでいくキッカケになった曲ですが、バイロイトでの演目になっていない事から「さまよえるオランダ人」以降の作品に比べて今ひとつ知名度が低いようですね。日本初演も1998年という事で、つい最近の事です。

リエンツィは14世紀に実在したローマの政治家で、ワーグナーは史実とは異なる設定で、住民の支持を得て政権を手にしたが、やがて住民に反逆され殺されると言うストーリーです。

序曲は、オペラに比べるとCDも数多く、演奏される事も多いのですが、それでも「タンホイザー」「さまよえるオランダ人」などの序曲に比べると聴く機会は多くはありません。
実は、個人的にはワーグナーの序曲、前奏曲の中では最も好きな曲です。トランペットの独奏で、民衆に革命を促すリエンツィの呼びかけを表し、リエンツィの祈り、そして勇壮な行進曲と、非常にドラマチックな序曲です。

レヴァイン指揮メトロポリタン劇場管弦楽団で前半部分です。

2010年10月19日 (火)

今日の音楽 10月19日 タンホイザー

1845年10月19日はワーグナーの歌劇「タンホイザー」が初演された日です。

タンホイザーは中世の騎士道の話で、堕落し快楽の世界(ヴェヌスブルグ)へ身を委ねてしまったタンホイザーが、婚約者エリザベートの献身によって救われるという話。
初演はドレスデンの宮廷歌劇場でワーグナー自身の指揮で演奏されたもので、終幕でヴェーヌスが現れない、エリザベートの生死がはっきりしないなどストーリーが判りづらかった事から、改訂を加えた第2稿が現在ドレスデン版として上演されるものです。

その後、パリで初演する際に、パリではオペラの第2幕に必ずバレエを挿入するという慣習から改訂を依頼されたものの、ワーグナー自身はストーリーの中にバレエを入れる事に不満を抱き、結局序曲の後にバッカナールを挿入しました。が、のんびりと第2幕から遅れてやってくる貴族たちから批判を浴び、わずか3回の上演で終わってしまいました。

現在、パリ版として上演されるのは、その後序曲から直接バッカナールに移行するように改訂されたウィーン版と呼ばれる版で、最近は「ウィーン版」と呼んでいるようです。

「タンホイザー」は、まだ楽劇の完成された姿になってはいませんが、親しみ易いメロディなどから、人気の高い作品です。序曲は、巡礼の合唱のメロディを中心に、劇中に出てくる様々なメロディをたくさん使った序曲になっています。

歌合戦のために大広間に名歌手や貴族たちが入場する音楽、大行進曲です。

2010年10月18日 (月)

今日の音楽 10月18日 操り人形の葬送行進曲

1893年10月18日はグノーの命日。
グノーといえば「ファウスト」か「アヴェ・マリア」なんですが、だいたいグノーのオーケストレーションはコントラバスには優しくない、面白くない。なので、聴くのは良いが弾くのはイヤな作曲家のひとりです。

グノーは寧ろ宗教音楽の世界では成功をおさめた作曲家ですが、俗世の音楽では「ファウスト」と「ロミオとジュリエット」が現在でも演奏されるぐらいですね。そんな中で、「操り人形の葬送行進曲」は別格。というのも、むか~し、TVでやっていた「ヒッチコック劇場」のテーマ曲に使われていたので、よ~く知られるようになりました。操り人形が、劇場の人と戦って殺されてしまい、その人形の友人が盛大な葬式をする。教会への道すがら、会葬者達は宿屋で一休みし、死んだ同僚のことをしばし語り合う。そして、ひとしきり話をして、会葬の列は再び歩き始める…。という内容の曲。グノーらしい親しみ易いメロディの曲です。

2010年10月17日 (日)

今日の音楽 10月17日 トランペット協奏曲(フンメル)

1838年10月17日はショパンの命日なのですが、その1年前1837年10月17日はフンメルの命日。

フンメルはスロヴァキア(当時はハンガリー)の作曲家で、2年間モーツァルトの家に住み込んでピアノを習いハイドンにはオルガンを習い、ベートーヴェンとも親交を持ち・・・という当時評判の音楽家だったようです。
交響曲以外のあやゆる分野の作品を残していますが今ではちょっとマイナーな作曲家になってしまっています。
そんな中で最も有名なのが、トランペット協奏曲ホ長調。非常に明るい曲想の軽い音楽で、同時代のベートーヴェンとは一味違う肩のこらない音楽です。
そんな中で、ちょっと2楽章を聴いてみてください。冒頭から少したったところの長調になったところ目をつぶってトランペットソロを取り除いて聴いてみてください。

モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章、短くも美しく燃えの旋律によく似てませんか?。実はフンメルは過去の作曲家の作品を隠し味に使うのを得意としていたようです(笑)。ピアノソナタ第2番ではグレゴリア聖歌を、第3番では同じモーツァルトの交響曲第40番の終楽章を引用しています。

ちなみに、この曲最近では、トランペットの吹き易い変ホ長調に移調して演奏される事が多いようです。

2010年10月16日 (土)

今日の音楽 10月16日 ロデオ

1942年10月16日に、アメリカの作曲家コープランドのバレエ音楽「ロデオ」が初演されました。

コープランドは以前「エル・サロン・メヒコ」を紹介しましたが、ジャズをベースにしたガーシュウィンとは違って、ネイティヴアメリカや開拓時代の雰囲気が色濃い、いかにもアメリカという音楽を数多く作曲しています。21歳でパリに留学した頃から現代音楽と大衆の音楽への嗜好への隔たりを感じ、アメリカ民謡などに根ざした作風で40歳代まで多くの曲を発表しましたが、後に12音技法などの現代音楽へ転じていきました。その頃から非常に寡作になり、若い時代の音楽ほど取り上げられる事は無いようです。

「ロデオ」は元々は弦楽合奏用に構想された曲ですが、最終的には4つのダンスとエピソードという形の4曲からなるバレエ音楽として完成させられました。
カウボーイの休日、牧場の夜想曲、土曜日の晩のワルツ、ホーダウン(踊り)の4曲ですが、中でもアメリカ民謡「ナポレオンの退却」をベースにしたホーダウンは、吹奏楽コンクールの自由曲として取り上げられたり、USJのショウで使われたりしています。

2010年10月15日 (金)

今日の音楽 10月15日 恋するデビー(マイ・ライフ)

親子で全米ナンバーワンシングルを記録したソロシンガーはわずか2組。フランク・シナトラとナンシー・シナトラと、パット・ブーン、デビー・ブーンだけ。1977年10月15日から何と10週間もトップに輝いたのがデビー・ブーンのデビュー作「恋するデビー」。邦題は何とも××ですが、原題はYou Light up my life.
同名の映画(邦題 マイ・ライフ)では主人公が口パクで歌っていた曲で、あなたは私の人生を照らしてくれる、という歌詞で、このあなた=youは主イエスの事らしい。

という薀蓄はともかく、とっても良い曲なので聞いてみてください。デビーは、このほかに「愛の祈り(God Knows)」「カリフォルニア」などというヒット曲やアバの「落ち葉のメロディ(Hasta maniana)」のカバーも良いですヨ。

2010年10月14日 (木)

今日の音楽 10月14日 人魚姫

オーストリアの作曲家アレクサンダー・ツェムリンスキーの誕生日が1871年10月14日。ツェムリンスキーは、長い間埋もれた作曲家でしたが、20世紀末になって、ようやく見直されて来ています。
マーラーの影響が強く、作品には顕著にそれらが現れているといわれています。シェーンベルクが唯一受けた正式な音楽教育がツェムリンスキーからであり、マーラーとシェーンベルクの繋ぎとして埋もれてしまった事やナチスドイツから頽廃音楽とレッテルを貼られ、アメリカに亡命したものの名前が売れる前に逝去してしまったことなどが、埋もれた作曲家になった原因だそうです。

代表作は、マーラーの大地の歌の影響が強いインドのタゴールの詩に基づく歌つきの抒情交響曲ですが、今日はもっと最後期ロマン派の雰囲気を多く残す交響詩「人魚姫」にしましょう。人魚姫は3つの楽章からできている曲で、初演の後に4つ目の楽章を付け加えて交響曲にしようとして本人がオクラ入りさせてしまって死を迎えたため長い間演奏されませんでした。1984年に復活初演されてから日本でも演奏されるようになり日の目を見たわけです。

オーケストレーションを聴くと、マーラーやR.シュトラウスに近いものがありますが、ロマン派的な泣きでは勝るとも劣らない曲です。
誰の演奏だかわかりませんが、冒頭です。

2010年10月13日 (水)

今日の音楽 10月13日 明日に架ける橋

私の最も好きなアメリカン・ポップスは?と問われれば、迷い無くサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」(Bridge over troubled water)と答えます。作詞・作曲をしたポール・サイモンの誕生日が1941年10月13日です。

ポールは1955年に小学生時代からの友人だったアート・ガーファンクルと「トムとジェリー」のバンド名でデビューし「ヘイ・スクール・ガール」をヒットさせました。1964年にはサイモン&ガーファンクルとしてアルバム「水曜の朝、午前三時」をリリースしましたがその時は注目を集めませんでした。その2年後、突然アルバムの中の「サウンド・オブ・サイレンス」がヒットし、チャートのトップに。1968年には「ミセス・ロビンソン」でグラミー賞を獲得、1970年には「明日に架ける橋」でアルバムとシングル両部門でビルボード年間ヒットチャートナンバーワンという快挙を達成しました。

歌詞はこの時期流行した「励まし」の歌。挫折、孤独を味わっている若者を励ます歌です。

この曲のヒット直後、サイモンとガーファンクルはお互いの目指す音楽の違いから解散。ポール・サイモンは今までのフォーク・ポップ路線に留まらず、ソロデビュー曲の「母と子の絆」のようなレゲエ調の曲、「ダンカンの歌」のようなフォルクローレ調の曲など常にチャレンジし新しい音楽を作り続けています。
ですから、どの曲を聴いても似ているというような曲は全く無く、飽きない魅力も持っていると言えるでしょう。

2010年10月12日 (火)

今日の音楽 10月12日 海の交響曲

1872年10月12日はイギリスのレイフ・ヴォーン=ウィリアムズの誕生日。その上、1つめの交響曲である「海の交響曲」が1910年にリーズで初演された日です。

海の交響曲は、一応交響曲の形式にのっとっているとはいえ、実質はカンタータです。ホイットニーの詩集「草の葉」をテキストにした作品で、冒頭のファンファーレに続いて合唱が入って来たり、他の歌つきの交響曲とは異なる合唱中心の曲。単一楽章だけの演奏でも構わないという事を考えても、交響曲というよりは声楽曲と呼んだ方が相応しい曲です。

昔から海を描写した曲はたくさんありますね。ドビュッシーの「海」、ブリテンの「四つの海の間奏曲」、ゲーテの詩を元にした「静かな海と楽しい航海」、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」の中の数々の曲、リムスキーコルサコフの「シェエラザード」の第4楽章、ヴィヴァルディの「海の嵐」などなど・・・
しかしながら、この海の交響曲はそういう描写的な雰囲気は殆どしませんね。それは、「草の葉」が叙事詩であること、自然を描いた作品ではなくて、大航海によって海を征服した人間讃歌であること、が理由ですね。かなり大袈裟な人間讃歌なので全曲通して聴くと結構疲れます(笑)

という事で第1楽章の冒頭だけ。(ところでこの映像は何だ?)

2010年10月11日 (月)

パイオニア交響楽団第21回定期演奏会 終演

一昨日、大田区民ホールアプリコでパイオニア交響楽団第21回定期演奏会が無事?終わりました。
朝から小雨が降っていて、終演時間には土砂降りだった悪天候にもかかわらず聴きに来て頂いた皆様には御礼申し上げます。

だいたい、うちの演奏会はいつも天気には恵まれる事が多いのですが、数年前の雪の文京シビック以来の悪天候でお客様が入るのか心配でしたが、当日売りはやはりいつもより少なかったものの多勢の方に来て頂いたのでホッとしています。(今回、忙しいやら何やらで殆ど集客してなかったので他人頼みでしたが・・・)

第15回の「復活」以来のマーラーでしたが、状況は全く違っていました。だいたい、「巨人」はコンバスはテンションがなかなか上がらない曲。終楽章は特に金管が華々しく騒いでいる時も、ティンパニと一緒にリズム刻んだり、なんだかわけのわからない(笑)オスティナートの連続。中間の弦楽器の美しいフレーズは、pizzと数十小節続くCの持続音(痛くなる)。冒頭からいきなりメロディを演奏し続ける「復活」に比べれば・・・

それを救ったのが「プラハ」でした。黒岩英臣氏の指揮で演奏するモーツァルトのシンフォニーは40番、ハフナー、39番に次いで4曲目。普段聴くモーツァルトとはちょっと違う抑揚の激しいモーツァルトを演奏するのが黒岩流なんですが今までの曲ではちょっと違和感を感じる部分もあったのですが、底抜けに明るい「プラハ」では弾いていて、ただただ楽しかったです。オケも黒岩流モーツァルトに慣れて来た事もあって、マエストロも満足するノリが再現できたみたいです(音程は別問題・・トホホ)

第3楽章のコンバスソロは私ではなかったのですが、ビデオ取りをお願いしている会社の社長から、ソロを演奏している周りで、他の人が変な動きをしているとその映像が使えなくなる、という注意があったので、トップサイドの私は、それがプレッシャーとなって直立不動。演奏者とは違う緊張でした。

今日の音楽 10月11日 ピアノ協奏曲第1番(ショパン)

1830年10月11日、ショパンのピアノ協奏曲第1番がワルシャワの告別演奏会で初演されました。

ショパンは2曲のピアノ協奏曲を書いていますが、聞き比べてみると第1番の方がかなりスケールの大きい曲になっています。というのも実は第2番の方が先に作曲されていたものの一時紛失していて出版が遅れたため、後で作曲された方が第1番として出版されたという事です。

俗に、ショパンはオーケストレーションが下手で云々という事が言われていますが、実はこの曲のオーケストレーションはショパンの手によるものではない可能性もあるそうです。今では第2番のオーケストラ譜の大部分で他人の筆跡が確認されていて、この曲のオーケストレーションがショパンの手によるものではない事がわかっています。時期的に同じような時期に作曲された第1番も同様ではないかというのが定説になりつつあるようです。

曲自体はポーランドの音楽を随所に使っています。第1楽章第1主題はマズルカ風、その副主題は都はるみの「北の宿から」に似ている、じゃなくて、が似ているかどうかは別にしてポロネーズ風。第3楽章にはクラコヴィアクを使っています。第2楽章は殆どリズムらしいリズムを刻む楽器が無い、ひたすらロマンチックな曲です。

で、この曲聴いてオーケストレーション下手だと思いますか?確かに、協奏曲という割りにピアノが目立ちすぎる点はあると思いますが、シューマンに比べると楽器の無駄な動きは少ないし、スケール感もあると思います。下手云々は偏見もあるのかな?まあ、コーダまでピアノがリードしていてオケ弾きとしてはちょっと不満かもしれませんけど。

今年はショパンの生誕200年という事や、大ヒットしたのだめカンタービレの「のだめ」のコンサートデビュー曲となっていたことなどから、演奏会で取り上げられる事も非常に多かったですが、もっと親しまれても良い曲のような気がしますけど。

アルゲリッチの超絶技巧ピアノとデュトワ指揮オケは不明で、第3楽章です。

2010年10月10日 (日)

今日はこの音楽で 10月10日 歌劇「ナブッコ」序曲

1813年10月10日は、イタリアの作曲家ヴェルディの誕生日です。
音楽史上、最も成功したオペラ作曲家は、ワーグナーとヴェルディでしょう。ワーグナーなどは、自分のオペラ専用の歌劇場まで作ってもらったり大変な栄華を極めていますが、それはバイエルン国王ルートヴィヒ二世というパトロンを得た事が大きな要因となっています。

それに比べると、ヴェルディは純粋に作品によって大成功を収めたという部分では、史上ナンバーワンのオペラ作曲家と言っても過言ではないでしょう。
しかも、当時成功を収めても忘れ去れらた作曲家も数多い中、ヴェルディの作品は今でも多くの人に愛され、世界中のあちこちで上演され続けています。
ヴェルディの作品は、その少し後のヴェリズモ・オペラと比較すると、それ以前の作曲家同様歴史や名作を元にした作品が多いのが特徴です。
歴史を元にした作品では「ナブッコ」、「十字軍のロンバルディア人」「アッティラ」「アイーダ」など。名作を元にした作品では、シェイクスピアの「オテロ」「マクベス」「ファルスタッフ」、デュマ=フィスの「椿姫」、ユゴーの「エルナーニ」「リゴレット」などです。

その中で歌劇「ナブッコ」の序曲を取り上げました。ナブッコ(別名ネブカドネザル)は、古代バビロニアの王の名前。特に、バビロン捕囚で捕らえられバビロニアに幽閉されたユダヤ人が故郷を思って歌う「行け、我が思いよ、金色の翼に乗って」は、オーストリアに支配されていたイタリアに重ねあわせられ、今でもイタリアの第二の国歌として位置づけられています。
序曲は、中間部にこの「行け、我が思いよ、金色の翼に乗って」のメロディがそのまま使われています。

2010年10月 9日 (土)

今日の音楽 10月9日 動物の謝肉祭

1835年10月9日はサン=サーンスの誕生日です。

サン=サーンスは神童とよばれ、10代の頃から作曲家、オルガニストとして活躍。フランス音楽の普及のためにフランク、フォーレらとフランス国民音楽協会を設立し、その後のドビュッシー、ラヴェルなどフランスの音楽家の活躍の礎を築きました。

しかしながら、彼の作風はロマン派の域を出ず、ロマン派音楽を発展させた領域に留まっていた事や、ドビュッシーやミヨーなどの作品に真っ向から批判をしていた事もあり、フランス音楽の流れの中では、古臭いと評価されがちです。サン=サーンスがもう30年早く登場していたらフランス音楽の大作曲家という評価がされたとも言われています。

彼は、非常に博識で、それゆえに嫌味な性格だったと言われています。作品の中には、風刺の利いたものも少なくありません。
代表的な例は、「動物の謝肉祭」。動物になぞらえて、当時の人物などを揶揄したり、従来の作品のパロディといった作品です。決して動物たちを素直に表現した作品ではありません。

「亀」は、オッフェンバックの天国と地獄をわざとゆっくり演奏させ、カメののろい歩みを表現しています。
「象」は、ベルリオーズのファウストの刧罰の「妖精の踊り」とメンデルスゾーンの真夏の夜の夢の「スケルツォ」をコントラバスに弾かせて巨大な体を表現。
「耳の長い登場人物」は、当時サン=サーンスの音楽に批評をしていた評論家を驢馬に例えた音楽。
「ピアニスト」は、動物では無いけれど、下手糞なピアノを弾くピアニストを動物と同系列に例えています。
「化石」は、自分の作曲した「死の舞踏」、きらきら星、ロッシーニのセヴィリャの理髪師「ロジーナのアリア」など名曲は化石となっても名曲と。

譜面などを見ると、そこここに色々な工夫がされている名曲です。

「象」をイスラエルのコントラバス奏者Guy Tunehで。表情も面白いですよ。

2010年10月 8日 (金)

パイオニア交響楽団第21回定期演奏会のご案内・11

いよいよ、演奏会が明日に迫りました。
最後はマーラー交響曲第1番の第4楽章。

第3楽章から続けて演奏される終楽章は、シンバルの一撃から始まります。とにかく破壊的なテーマです。なにしろ、この楽章は初版では「地獄から天国へ」というタイトルが付いていますので、さながら地獄絵巻といったところでしょうか。第3楽章で寝ていた方も必ず起されます

しばらく地獄の阿鼻叫喚が続いた後、弦楽器によって非常に美しい天国のメロディが奏せられます。
再び地獄の音楽が繰り広げられると、行進曲風の堂々とした音楽が登場します。ここで、この楽章ではじめての4度動機が演奏され、その後しばらくは地獄へ行くか天国へ行くかモヤモヤしたような調子が続き、天国のメロディの断片が演奏されますが、すぐにヴィオラの第1主題の断片によって遮られます。地獄を覗き見るような展開から、再び行進曲風の音楽に突入、今回は結局勝利に満ちた雄叫びのようにクライマックスに到達します。

ここで、ホルンが全員立ち上がって演奏する事が多いのですが、これはオーケストラの演出ではなくてマーラーが楽譜にそのような指示を書いているからです。

終楽章は理屈云々ではなくて、こういう起伏の激しい音楽を楽しんで頂ければそれでOKという音楽です。

先週末のG.P.(通し練習)で、ようやく演奏会が近づいたという雰囲気が出てきました。
今回は明るい音楽が多いモーツァルトの中でも飛びっきり明るい2曲と、マーラーフリークには思索的でないとかいう批判を受けながら、やっぱり牧歌的な音楽-踊りだしたくなるようなスケルツォ-葬送行進曲-迫力と美しさを味わえる終楽章という飽きない選曲になっていますので、楽しんで頂ければと思います。

今日の音楽 10月8日 死んだ男の残したものは

1930年10月8日は武満徹の誕生日です。
武満といえば、日本を誇る世界的作曲家。弦楽のためのレクイエムとか地平線のドーリア、ノーベンバー・ステップス、グリーン、カトレーンなど数多い作品を残しています。60代の若さで亡くなられたのが非常に残念です。

そんな武満徹の作品に「死んだ男の残したものは」という反戦歌があります。谷川俊太郎の詩に武満が作曲したもので、森山良子や高石友也、長谷川きよし、小室等などフォークの歌手が好んで歌っています。死んだ男の残したものは・・・ただ●●だけだった・・、つまり戦争で死ぬなんて名誉でも何でもなくて無駄死になんだという事を歌った歌。

前半は坊や大きくならないで、後半が死んだ男の・・・です。

2010年10月 7日 (木)

パイオニア交響楽団第21回定期演奏会のご案内・10

マーラーの交響曲第1番の第3楽章は葬送行進曲です。初稿ではカロ風の葬送行進曲というタイトルがつけられています。カロというのは銅版画家ジャック・カロで、猟師の死体を獣たちが担いで墓地へ向かうという作品が元になっています。
冒頭は、コントラバスのソロでフランスの民謡「フレール・ジャック」(アメリカではAre You Sleeping、日本では「グーチョキパーで何作ろう」として知られている)を短調にした曲です。

ここでもコントラバスのソロの始まる2小節前にティンパニで4度下降のレ・ラ・レ・ラが叩かれています。実は、このコントラバスソロ、最も新しいマーラー協会の新版全集では、コントラバス全員で演奏する事として指定されています。

今回は新版によらずソロで演奏します(私では無いですが・・・)。理由は・・・ただでさえきちんとした音程で弾くのが難しい高音域を8人全員合わせるのは無理なので。。

このテーマがカノン風に様々な楽器に受け継がれ、オーボエによるちょっとおどけたようなメロディに受け継がれていきます。
ハープのソロによってつながれる中間部は、第1楽章のテーマ同様「さすらう若人の歌」から引用したメロディをヴァイオリンがSoloやSoli、Tuttiなど絡み合いながら演奏します。

再び、最初のテーマに戻り、ほんの数小節だけ滑稽なリズムになったと思うと、また物憂げな葬送行進曲に戻り静かに楽章を閉じます。

この楽章は、コントラバスはソロの人を除けば、初めから終わりまでpizzicatoなので、多くの場合弓を置きますが、第3楽章と第4楽章の間を開けない、第4楽章の1つ目の音はシンバルに続くpizzicatoのCのフォレティッシモなので、そこまで弓を置いたままです。1発のpizzicatoが終わると暫く休みがあるので、その間に弓を持つわけです。

今日の音楽 10月7日 金鶏

1909年10月7日は、リムスキーコルサコフ最後のオペラ「金鶏」が初演された日です。

プーシキンの原作を元にした風刺的な内容のオペラで、帝政ロシアに批判的という事で検閲を通過するためにかなりの部分のセリフを書き換えさせられたそうです。

ドドン王という王様に元に占星術師から届けられた危険が迫ると知らせるという金鶏をめぐる話ですが、リムスキーコルサコフはオペラ上演前から、演奏会用組曲を作る構想を持っていましたが最終的な完成の前に急逝してしまいグラズノフなどの手によって完成しています。

第2幕のシェマハの女王のアリア、太陽の讃歌です。トリフェノワのソプラノ、ケント・ナガノ指揮パリ管です。

2010年10月 6日 (水)

今日の音楽 10月6日 ヴァイオリン協奏曲第2番(シマノフスキー)

1882年10月6日は、ポーランドの作曲家シマノフスキーの誕生日です。
シマノフスキーはポーランド分割~独立~共産党支配の激動の時代を生きた作曲家で、彼の作風の変化は、そういった影響が反映されていると言われています。

分割時代の当時はウクライナ支配下で生まれたシマノフスキーは、ポーランド貴族という裕福な家庭で育ちました。当初は祖国の英雄ショパンや、Rシュトラウス、ワーグナーなどの後期ロマン派の影響を受けていましたが、その後欧州や北アフリカなどを旅し印象派とオリエントの融合した独特の作風になっていきます。

1917年ロシアのボルシェヴィキがシマノフスキー家を襲い精神的なショックを受け、ワルシャワに移住。ストラヴィンスキーと会った事で祖国の音楽に目ざめワルシャワ音楽院の院長となりましたが改革に失敗し辞任。1937年3月29日に結核で他界しています。

ヴァイオリン協奏曲第2番は、1933年に完成した末期の大作で、単一楽章からなりコンチェルトです。後半にはポーランド民謡のリズムが現れ、後期の特徴を聴く事ができます。

クルカのヴァイオリン、マクシミウキ指揮ポーランド放送交響楽団で、最後の部分です。

2010年10月 5日 (火)

今日の音楽 10月5日 美しいエレーヌ序曲

1880年10月5日はオッフェンバックの命日です。
ドイツ生まれでフランスに帰化した作曲家ですが10代前半からフランスに住んでいるのでドイツっぽい雰囲気はしないですね。天国と地獄の序曲とホフマンの舟歌がある為に、名前の知られた作曲家になっていますが日本ではこの2曲が無かったら無名の作曲家で終わっていたかも・・・しかもこの天国と地獄の序曲は、ウィーンでのドイツ語版初演の時にカール・ビンダーが編曲したものでオッフェンバックのオリジナルじゃないし、ホフマン物語もオペラとしては未完で終わったものだそうです。

数あるオペレッタの中で、「美しいエレーヌ」は「天国と地獄」(原題 地獄のオルフェ)に次ぐ名の知れた作品ですが、曲を聴くと作曲家がわかるぐらいにオッフェンバックのオーケストレーションの特徴が出ている曲です。この曲もトロイア戦争の原因となったパリスによる絶世の美女スパルタ王妃ヘレネの誘惑の話をパロディ化したもの。中間部のワルツもレハールにも似た雰囲気ですがちょっと捻りが加わってますね。

2010年10月 4日 (月)

今日の音楽 10月4日 ゴルドベルク変奏曲

1982年9月4日は、天才ピアニスト グレン・グールドが死去した日です。
グールドといえば、奇人変人的ピアニストとして名を馳せていますが、バッハを史上最高唯一無二の作曲家として傾倒し、バッハの演奏では右に出るものがいないといわれる存在です。中でも、世界的デビューを果たしたゴルドベルク変奏曲の評価は今でも高いものです。

グロドベルク変奏曲は原曲は2段鍵盤つきのクラヴィチェンバロのために書かれたアリアと変奏曲ですが、変奏曲としては非常に長い上、当時としては高度な対位法によって書かれている難解な曲で長い間演奏される事も無かったが、20世紀初頭のモダンチェンバロの登場で日の目を浴び、グールドがこの曲でセンセーショナルなデビューを果たし一躍脚光を浴び、ジャズなどにも取り入れられるようになったわけです。

グールドは、有名なチェリビダッケやホロヴィッツと全く正反対に、コンサートを極端に嫌い録音中心の音楽活動をしていました。コンサートを嫌っていた理由は、コンサートに来る客は血に飢えた演奏家の失敗を心待ちにする輩・・・と考えていたから等々言われています。

グールドの演奏で、アリアです。

2010年10月 3日 (日)

パイオニア交響楽団第21回定期演奏会のご案内・9

マーラーの交響曲第1番の第2楽章はスケルツォです。
最初にチェロとバスによるオスティナートリズムが演奏されますが、これも4度下降のF-Cで演奏されます。このリズムは途中調を変えることがありますが、スケルツォの主部を一貫して支えています。

このリズムに乗って歯切れの良いメロディが木管楽器で演奏されます。
この最初のリズム、低弦の見せ所のひとつで、結構オーバーアクションで弾く人もいますね。

中間部は、レントラーです。レントラーは3拍子の南ドイツの踊りです。舞踏音楽として取り入れられるとテンポは速くなり、優雅さが求められるようになりました。これが、後にワルツとなりウィンナ・ワルツの原型となった音楽とも言われています。マーラーやブルックナーは、自分の曲にこのレントラーを好んで使っています。
今回の演奏では、多分他ではあまり聴く事ができないようなレントラーを演奏します。テンポの揺れが激しい、踊りの要素より優雅さを強調した演奏になると思います。

そしてスケルツォに戻り、元気に高らかに楽章を閉じます。
マーラーは、このスケルツォからレントラー、レントラーからスケルツォに変わる節目の部分を両方とも4小節のホルンのソロで繋いでいます。こういうところにも作曲家のこだわりが感じられますね。

今日の音楽 10月3日 フェロー諸島への幻視旅行

1931年10月3日はデンマークを代表する作曲家ニールセンの命日です。
ニールセンといえば第2番の「四つの気質」や第4番の「不滅」に代表される6つの交響曲が有名で、その他に「アラジン」とは「ヘリオス」といった管弦楽曲も時々演奏されるようです。

そんなニールセンの作品の中で晩年に作曲された狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想の旅」を選びました。
フェロー諸島は、アイスランドとデンマークの間の北大西洋にあるデンマークの自治領でアイスランドやノルウェーなどとは異なる独特の文化が形成された半ば独立国に近い島々です。
1927年にフェロー諸島からの使節がデンマークに来訪した時の歓迎のために作られた音楽で、交響曲が全て完成した後の作品としては非常に荒々しく、まるで若い時の作品のようです。
とにかく最初は非常に幻想的な曲(とても霧が多い島だそうです)ですが、次第に盛り上がっていってブレークしたらお祭り騒ぎです。肩のこらない曲です。

2010年10月 2日 (土)

今日の音楽 10月2日 コル・ニドライ

1920年10月2日はマックス・ブルッフの命日です。
ブルッフといえば、3つのヴァイオリン協奏曲やスコットランド幻想曲といった、ヴァイオリンとオーケストラのための曲が有名で、そのロマンチックな味わいで、後期ロマン派を代表するヴァイオリン協奏曲として、今でも盛んに演奏されています。

今日は、ヴァイオリンの曲じゃなくて、チェロとオーケストラのための曲、「コル・ニドライ」です。「コル・ニドライ」は14世紀のイベリア半島において、迫害などによって無理矢理キリスト教に改宗させられたユダヤ人が、改宗したことを悔い、神に許しを請い本来の信仰に帰る事に対する誓いの歌で、これを元に作曲された曲です。
12分程度の淡々とした曲ではありますが、敬虔な祈りにふさわしい厳かで静かな音楽です。

ジュリアン・ロイド・ウェッバーのチェロ、ジャッド指揮ロイヤル・フィルです。ジュリアンは、キャッツやオペラ座の怪人などの作曲で有名なアンドリュー・ロイド・ウェッバーの弟です。

2010年10月 1日 (金)

パイオニア交響楽団第21回定期演奏会のご案内・8

マーラーの交響曲第1番第1楽章の主題はチェロによって提示されます。最初の音がレ・ラ・・・。つまり4度下降の動機になっているわけです。かっこうの鳴き声が主題を構成する動機というわけです。牧歌的な大らかな主題です。耳をすませば、森の生き物の鳴き声や息吹が聴こえてきます。マーラーの譜面は、我々が普段目にするイタリア語から派生した音楽用語は、強弱などの限られたものしか使用せず、そのほかの指示は全てドイツ語で、細かく書いてあります。クラリネットの4度下降の音も、「カッコウの鳴き声を真似て」などと。面白いのは、指揮者への注意とか、バンダのトランペットに、ここで着席しろ。第2楽章と第3楽章の間には、かなりの休みを取れ(第3楽章と第4楽章の間が直ちに4楽章に入れと書いてあるように休み無く行くので、ここで休んでおけという事か、それとも踊りの音楽の第2楽章から、葬送行進曲である第3楽章の間は音楽的にあけるべきだからかはわかりませんが)、終楽章ではホルンに残らず立て・・・

というわけで、カッコウの鳴き声のような音は、カッコウの鳴き声なんです

2つめのテーマは、もう少し前向きな明るさを持ったテーマです。キリが晴れてきたんでしょうか。提示部が最高潮に達すると、もう一度今度はヴィオラ以上の高弦のフラジオで薄い霧が出てきます。そして、カッコウやナイチンゲールの鳴き声。やがてハープによって序奏のメロディが流れ出し、春も終わりかという雰囲気が出てきますが、今度は遠くから角笛の音が聴こえます。やがてそれまで出てきた要素が混ざり合い、終わりの無い春も終わりへ向かうわけです。

この楽章はとにかく牧歌的な雰囲気を表現したいですね。活発になっても、その雰囲気を失うことなく、最後の最後だけちょっと様子は変わりますが、その間は常に、あわてず騒がず演奏したいものです。

今日の音楽 10月1日 ラ・ペリ

1865年10月1日は作曲家デュカスの誕生日です。
デュカスは完璧主義者だったため、作曲が非常に遅く、1年に1作しか作らないなどという年があったり、1920年代にはそれまでの作品の大半を破棄してしまった、などの理由で現在残されている作品はわずか10作あまりだそうです。

デュカスの代表作といえば、魔法使いの弟子。大体のクラシックファンはこの曲を聴くと何故かミッキーマウスが浮かんでしまうというのは良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが、デュカスの知名度アップに「ファンタジア」が大きく貢献しているのは間違いの無い事実ですね。

もうひとつの代表作がバレエ音楽「ラ・ペリ」。ペルシア神話を元に作曲された1幕もののバレエ音楽で魔法使いの弟子同様、アマチュアにとっては超難曲。難曲である理由はデュカス独特の和声進行。これ、耳で聴きながらしっかり合わせるのはかなり高度な能力が必要でしょうね。
有名な冒頭のファンファーレは、翌年に別に作曲されたものでバレエの冒頭で金管楽器のみで演奏されるほか、金管アンサンブルでは定番のひとつです。

ファンファーレです。

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