今日の音楽 5月27日 交響曲第6番「悲劇的」(マーラー)
1906年5月27日にマーラーの交響曲第6番がドイツのエッセンで初演されました。この曲は翌年1月のウィーン初演時に"Tragische"という副題が冠され、日本でも「悲劇的」という副題で呼ばれていますが、マーラー自身の命名かどうかは不明です。
第1番の後の、第2番~第4番まで(所謂角笛交響曲)では、声楽が重きを置いていたマーラーの交響曲ですが、第5番~第7番までは声楽を含まない曲になります。その中間に位置する第6番は、4管編成、ホルン8本トランペット6本トロンボーン4本、打楽器はティンパニ2セットに14種類の打楽器、チェレスタという大編成ですが、曲の構成は古典的な4つの楽章でできています。第2楽章のスケルツォと第3楽章の緩徐楽章の配置をマーラー自身も迷っていたようです。初演では第2楽章を緩徐楽章にし、第3楽章をスケルツォという配置に変更しましたが、ウィーン初演では作曲時の譜面どおり第2楽章にスケルツォを戻しました。
現在のマーラー協会の全集版では、第2楽章スケルツォになっています。
演奏も概ね、その順で演奏される事が多いようです。
マーラーという人は、非常に神経質のようで、譜面を見ると、ある楽器がフォルテで演奏している所で別の楽器がピアニッシモだったり、弦楽器のように複数人数で弾くようなパートでは、弾く人数を指定して音の大きさやニュアンスを変えています。その上、全てドイツ語で書かれているので、普段イタリア語の譜面に慣れている我々にとっては、譜面を忠実に演奏する事がスタートになります。典型的なロマン派音楽で、自由度が高そうなのですが、実は作曲家の指定通り弾かないと、本来聴こえるべき音が聴こえない、など細かく考えられています。特に第6番は、完成度が最も高い曲とも言われていますので、譜面をきちんと弾く事がまずは第一歩。
そういう意味では、意外に勉強になる作曲家なんですよ。
ゲルギエフ指揮のロンドン交響楽団で、第1楽章冒頭です。
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