パイオニア交響楽団第20回定期演奏会のご案内7 コッペリア その5
コッペリア最後の曲、スラヴの主題による変奏曲は、主題と4つの変奏曲でできています。スラヴの主題といっても、とても軽いタッチの曲で、チャイコフスキーのスラヴ行進曲とかドヴォルザークのスラヴ舞曲のような重苦しい感じの曲ではありません。やっぱりスラヴ民族の書いた曲とフランス人が書いた曲の違いでしょうか。
主題はヴァイオリンによってスタッカートを伴って提示されます。第1変奏は変奏といっても、主題のメロディラインそのままに管楽器によってレガート気味に演奏されます。それに弦楽器が飾りをつけるという展開です。
第2変奏も基本的なメロディラインは同じですが、ヴァイオリンによる細かい上行音階や下行音階が前面に出てきます。
第3変奏は雰囲気を変えてTuttiによるメロディラインと木管楽器の分散音が交互に現れる荒々しい音楽になります。
第4変奏は3拍子になりクラリネットの自由な旋律に弦楽器が後打ちでお付き合いします。このクラリネットの旋律が非常に音域が広いのでかなり演奏は大変です。最後の小節ではシの音から2オクターヴに少し足りないソの音まで駆け上がります。
フィナーレは4拍子にもどり、ようやく主題のメロディから大きく離れます。弦と管の装飾音の掛け合いが終わると、新しいフィナーレのメロディがリズムを持って演奏され、やがてトロンボーンなども加わってクライマックスからエンディングに駆け上がって行きます。
このように、この曲は変奏曲といっても、初歩的な変奏で、ヴァリエーションの妙を聴くというよりは雰囲気の変化を楽しんで行くという感じです。やたらに音楽の停止が多く、何かぎこちない雰囲気の前半から一気に演奏される後半の変化も楽しい曲です。
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