パイオニア交響楽団第19回定期演奏会のご案内 2
オープニングの曲は、チャイコフスキーのイタリア奇想曲。
冬が長く、寒さが厳しい地域に住むドイツ人とかロシア人にとってイタリアという国は太陽の国だったようでイタリアに静養とか療養で出かけてその印象を音楽にしている作曲家が少なくない。メンデルスゾーンは交響曲第4番をイタリア旅行中に書き始め、ブラームスはヴァイオリン協奏曲などの名曲をいくつかイタリア滞在中に書いている。このイタリア奇想曲は、チャイコフスキーが不幸な結婚をして精神的に参ってしまい海外を放浪するが、長期滞在したイタリアで体験した陽気さや暖かさに癒され、イタリア民謡なども交え作曲されたのが「イタリア奇想曲」である。
イタリア奇想曲は5つの部分と5つの旋律から構成されています。
第1部 8分の6拍子 ファンファーレ(イタリア騎兵隊の兵舎から聞こえてきたラッパの音が元ネタ)、重厚な第1の旋律が奏でられます。何とこの間、コントラバスは71小節(約3分)お休み。出だしからいきなり長いお休みというのは実はあまり嬉しくない。金管楽器などでは良くある事ですが、楽器が冷えて音程が狂う・・・はずが無いので、そういう理由では無くて、どうせ休むなら途中で疲れた頃に休みたい(我がまま)。登場後しばらくすると伸びやかな第2の旋律(イタリア民謡 美しい娘さんに由来)が始まる。勿論コントラバスは頭打ちばかりだけど、と思っていると第2の旋律が再現される所では超絶技巧のスケール(テンポが速くて指がまわらないだけだが)。それが終わって第1の旋律の断片が現れ、第2部に入る。
第2部 4分の4拍子 飛び跳ねる馬のようなリズムに乗って(これはヴィオラ以下の中低弦楽器のジャンプボウイングで軽快に?演奏されるはず)アメリカっぽいメロディ、それを引き取って弦楽器による第4の旋律である明るいメロディが続きます。第1の旋律が戻ってきてヴィオラによって次の旋律への経過句がスピードを上げながら演奏されて第3部に入ります。
第3部 8分の6拍子 タランテラのリズムにのって第5の旋律が情熱的に演奏されます。タランテラはナポリの舞曲です。ここは鳴り物もたくさん登場し、この曲の最高潮を作り上げます。
第4部 4分の3拍子 第1部の第2の旋律の再現ですが、やっぱり2回目だし、フィナーレも近いので盛り上げまっせ!
第5部 8分の6拍子 またタランテラです。第3部と同じPrestoという速さでスタートします。それがPiu Prestoになり、Prestissimo(速度記号では最速)になり怒涛の勢いで終っちゃいます。
とにかく、技巧的に云々というより、とっても忙しく情熱的な曲です。最後は熱狂の中で終るので演奏者はその「熱狂」に取り付かれて自分を失わないように「熱狂」を演出しなければなりません。勿論冷めた気持ちでは盛り上がれないですが、熱狂の中に理性を失わず弾く事が大事な曲なんです。
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