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2007年10月14日 (日)

アマオケとモーツァルト・ベートーヴェン

最近、大学を出たてのアマチュア演奏家と話をすると、ベートーヴェンやモーツァルトのシンフォニーを全く経験していない人が結構多い事に気がつく。我々が高校・大学の頃は何といっても演奏会で取り上げるのはベートーヴェンは多かった。現に、私は大学卒業までに演奏したシンフォニーの中で最も多かったのはベートーヴェンの3曲だった。
何故、ベートーヴェン、モーツァルトの経験者が少ないのか。高校にしても大学にしても入学してから初めて楽器をさわる人は結構多い。特にヴァイオリン以外の弦楽器は殆どがそうである。そういう初心者にとっては、誤魔化しがきかないが基礎をしっかりやれば演奏できるベートーヴェンは最適な曲のはずである。モーツァルトは逆に学生では難しいかもしれない。モーツァルト独特の明るさや軽やかさを表現するのは難しいかもしれないからである。

そのひとつの理由は、管楽器奏者の多さである。特にフルートやクラリネットは1学年にだいたい2~3人はいる。トランペットもホルンも結構多い。これらの楽器は中学校でブラスバンドを経験している人が多い。金管は、そのままブラスバンドに入る人も多いが、フルートなどはブラバンではあまり目立たない存在なのにオーケストラでは主役である。フルートはどこのアマオケでも欠員が殆ど無いぐらい多い。1学年に2人いるだけでそのオケには8人のフルート奏者がいる。そのフルート奏者全員がステージに乗るためには、3曲のプログラムだとしてもフルート2本の普通の2管編成の曲だけでは賄いきれない。その為に、3管編成の曲を入れる必要が生じる。モーツァルトのシンフォニーの多くのようにフルートが無い曲などプログラムに入れることは言語道断である。トロンボーンの問題もある。モーツァルトのシンフォニーには全くトロンボーンが使われていない。ベートーヴェンも運命と第九に3本、田園に2本使われているのみである。ホルンも英雄で3本、第九で4本使われている以外は2本である。しかも第九はアマオケでは合唱が入るのでなかなか演奏できる機会が無い。

それでは、メイン以外でこれらの管楽器をこなせないか、という事である。勿論前プロや中プロと呼ばれる1曲目、2曲目の大編成の曲はかなり多い。が、前プロ(序曲)は短い。中プロでは、まずコンチェルトで大きな編成は少ない(ソロが音量的に負けるので)。他の管弦楽の曲は、大きくなればなるほど、特殊打楽器やハープなどが必要になり費用の問題が発生する。
従って、3年から4年で卒業してしまい、年に1回か2回の演奏会しかできない学生オケでは編成の小さいシンフォニーは取り上げにくいという事情があるのである。
数年間という長いスパンで考えられる社会人オケの方がまだこういう曲は取り上げ易いのである。

2007年10月 7日 (日)

名曲のお話 シンフォニー編16

前期ロマン派の交響曲で、もうひとり重要な人がいた。メンデルスゾーンである。
彼は実に多彩な才能を持っていた天才であった。若い頃には5ヶ国語が話せるようになった。絵画の腕前も一流。音楽会に残した事蹟も枚挙に暇が無い。まずは、指揮法の創始者といわれている。バッハの楽譜の発掘、ベートーヴェンの価値を再認識させる活動、シューベルトのグレイトの初演。そして、天才の常なのか、わずか38歳で逝去している。しかしメンデルスゾーンは多彩ゆえに これこそメンデルスゾーンというものが無い。ベートーヴェンといえば交響曲、シューベルトはドイツリート、シューマンはピアノ曲・・。メンデルスゾーンの作品の中で最も有名な曲は劇音楽「真夏の夜の夢」の結婚行進曲であろう。とは言っても管弦楽の分野が彼の最も得意な分野かというとそうでもない。協奏曲ではヴァイオリン協奏曲が有名だがその他にこれといった作品は無い。ピアノ曲も春の歌で代表される無言歌は有名ではあるが代表する分野とは言いがたい。歌曲でも「歌の翼に」という代表作はあるがその他は知られていない。あまりに才能に溢れていたので偏りが無く作品を残しているからなのであろう。

メンデルスゾーンはフルオーケストラの交響曲を5曲と弦楽のための交響曲を13曲書いている。ここで話をするのはフルオケの話。メンデルスゾーンの曲は非常に演奏が難しい。と言っても実はやったことが無い。譜面を見る限り弾きこなすのは困難である。メンデルスゾーンで唯一やった曲は「フィンガルの洞窟」。わずか10分程度の曲なのであるが、これが超難しい。交響曲になるとこの3倍以上の時間がかかるので気が遠くなる。従って、演奏会の選曲の段階でメンデルスゾーンが候補になった場合、即座に反対する事にしている。でも、そろそろ潮時かな。1回ぐらいはチャレンジしてみるか。

2007年10月 2日 (火)

名曲のお話 シンフォニー編15

シューマンは前期ロマン派の作曲家であるが、どちらかといえばピアノ曲と歌曲の作曲家として認識されている。その原因のひとつはシューマンのオーケストレーションにある。シューマンの場合は管楽器と弦楽器のユニゾンが多用され、音に輝きが失われている印象を受けると言われてきている。但し、曲の構成力や和声の展開はさすがに大作曲家と言わせるものがあるので、オーケストレーションが上手では無いという批判だけで、シューマンの管弦楽曲が駄作であるというわけではない。ただ言えるのは、我々アマチュアオケにとっては、上手に聴かせるのが難しい曲ばかりである、という事は言える。

シューマンは4曲の交響曲(更に未完成の曲が1曲ある)を書いている。シューマンはベートーヴェンやシューベルトを尊敬し、交響曲を書きたいという思いは若い頃から持っていた。22歳の時に1曲目の交響曲の作曲に着手したが当時人気ピアニストだったクララ・ヴィークの演奏会で完成していた第1楽章のみを初演したが、クララの影に隠れ評判にならなかった。第2楽章まで完成したが、その後ピアノ曲の作曲が忙しくなり未完成で終わってしまう。その後31歳の時にわずか2ヶ月足らずで第1番となる変ロ長調「春」が作曲され、メンデルスゾーンの指揮するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によって初演され好評を得ることができた。この曲は第1楽章冒頭のファンファーレで始まる曲で、実際に「春」を意識して作曲したようである。第2楽章は夢見るような旋律で、第3楽章は短調のやや重いスケルツォと跳ねるようなトリオからなる。第4楽章は、正しく春の躍動感を表現した曲である。

若干問題があるといわれているシューマンの交響曲は、やたらに指揮者によって改訂されて演奏される事が多かったようである。今でこそ、大幅に改訂して演奏はしないが、ダイナミクスなどは指揮者によっては大幅にいじられて楽器間のバランスを取るようにしたりするようである。

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