コントラバスの不思議(4)
五弦ベースというのをご存知かな。
現代のクラシック音楽で使用される撥弦楽器(弦を擦って音を出す楽器)は全て弦が4本張ってある。コントラバスも同様に普通は4本である。但し、チェロ以上の楽器の弦のチューニングは五度間隔になっているが、コントラバスだけは四度チューニングである。(エレキベースと同じ、ギターの下4本の弦の2オクターヴ下)
但し、コントラバスには五弦ベースというものがある。通常の四弦のベースの一番低い音の弦(ミの音)より更に低い弦が追加で張ってあるコントラバスである。ヴァイオリンにもヴィオラ、チェロにも五弦の楽器は無い。では、何故コントラバスだけ五弦があるのか。その原因はチェロにある。古典派以前の器楽曲では、コントラバスはチェロの1オクターヴ下を補完していた。コントラバスは記譜より1オクターヴ下の音が出るので、チェロとコントラバスは基本的には同じ譜面を演奏する事になる。古典派以降になると、楽器の発達とともにチェロには通奏低音以上のものが求められるようになってくる。細かいメロディやオブリガードが要求されるようになってくる。そうすると細かいメロディが苦手なコントラバスは次第にチェロと若干異なる譜面になってくるのではあるが。。。
コントラバスがチェロの完全に1オクターヴ下を演奏するとなると、ひとつ障害がある。チェロの最低音は「ド」の音であるので、コントラバスの最低音「ミ」より低いミ♭、レ、レ♭、ドの音が演奏できないのである。そこで、コントラバスの最低音「ミ」より低い音が出る弦を作ってしまったのである。
ところが、もうひとつややこしいのは、この最低弦の更に低い弦で必要とされるのは「ド」の音である。しかしながらこの弦を「ド」でチューニングすると次の弦との間隔が「3度」になってしまい、「4度」と混在して非常にひきづらい。従って、この5つ目の弦は人によって「使わない「シ」の音でチューニングする人と、3度の「ド」でチューニングする人の2通りがある。
ちなみに、私の楽器は四弦で、五弦は弾いたことがない。