コントラバスの不思議(2)
弦楽器の大切な道具のひとつに「弓」がある。もちろん弓が無くても楽器だけで音を出す事ができる。ギターのように弦を指ではじくピチカート奏法がそれである。しかしながら、ピチカート奏法では持続音を出す事ができない。指で弦をはじいた瞬間は大きな音も出せるが極端に早く減衰してしまう。そこで、持続音を出すための道具が「弓」なのである。
弓の主たる構成パーツは、「つる」と「毛」である。[つる」に「毛」を張って「毛」の部分で、楽器の弦を擦り摩擦で音を出すのである。みなさんは、「つる」と「毛」の値段はどちらが高いと思いますか?私は、実際に楽器を始めるまでは「つる」は木、「毛」は馬のシッポの毛だから、当然毛の方が高いと思っていた。が、実際は、「つる」は「毛」の数十倍以上の価格なのである。
「つる」は、木製であるが何の木でも良いわけではない。必要なのは、「毛」を張っても折れない丈夫さ、演奏する時に力をうまく弦に伝えるために、よくしなること。そうでありながら片手で扱うのであるから軽いこと。そういう事でよく使われるのが「ヘルナン材」であったが、この木が手に入りにくいため価格はかなり高価になる。比較的安価なのが「ブラジル材」・・・但しこの木は、へたりが早い。最近は、手に入りにくい木材より、カーボン製の弓が増えているようだ。
「毛」は、馬のシッポの毛であることは前述したが、一般的な白い毛は、白馬の毛ではない。漂白したものなのである。毛で弦をこすって音をだすのであるが、この毛自体も使っていくうちに、引っ掛かりが悪くなっていく。次第に音質が劣化し、擦っても音がでなくなってうぃまう。そのためにちょくちょく毛替えの必要が生じる。プロの方などは数週間に1回変える方もいるようである。アマチュアの場合、5000円程度する毛替えを年中するわけにはいかないが、それでも半年使うと音がでにくくなるので、基本的には数ヶ月で替えている。
そして、この弓はかなり高価なものである。おそらくプロの方々が使われている弓は、私の楽器と同等の値段のものもある。それぐらい高価なものなのである。
« 名曲のお話 シンフォニー編 3 | トップページ | 名曲のお話 シンフォニー編 4 »
コメント